「『福島から世界一』を目標に頑張ってきましたから、チャンピオンに選ばれた瞬間は自然と涙がこぼれました」
そう喜びを語るのは、7月16日に英国・ロンドンで開かれた世界最大級の国際ワイン品評会であるインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)の日本酒部門で「チャンピオン・サケ」を受賞した「ほまれ酒造」(福島県喜多方市)の唐橋裕幸社長だ。
応募876銘柄の頂点に輝いたのは「会津ほまれ 播州産山田錦仕込 純米大吟醸」。南国の果実のような華やかな風味と、酸味と甘みのバランスが高く評価されたという。
世界一までの道のりは険しかった。2011年の福島第1原発事故以降、風評被害に苦しめられた。
「『友人からお宅の酒をもらったんだけど、飲みたくないから着払いで送り返したい』とか『家が汚染される』と言われたこともありました。
海外のお客さまから『体調が悪くなったのはお宅の酒のせいじゃないか。放射能検査証を送れ』と求められたことも。
米も水も検査は徹底して、安全には最大の注意を払っています。今回の受賞で福島の酒が安心というだけでなく、美味しい酒だと知ってもらうことが風評被害払拭に繋がると期待しています」(唐橋社長)
そんな唐橋社長の妹は、フリーアナウンサーの唐橋ユミ(40)だ。彼女は同社が商品化した「会津ほまれ化粧水」を使っていることをラジオ番組で語るなど、会津ほまれのPRに一役買ってきた。兄の快挙に、こんなコメントを寄せた。
「私が見る初めての兄の涙に、若くして蔵を継いだ兄の苦労を感じました。何かを変えなきゃとチャレンジした結果が世界へ打って出ることでした。それが最高の形で実を結んだ。
今回の純米大吟醸酒はすべて手造りで、造り終わる頃には杜氏さんは精根尽き果てると聞きます。杜氏さんはじめ社員のみなさんの力が結集したお酒です。本当においしいので、皆さんもぜひ飲んでみてください!」
[引用/参照:http://www.news-postseven.com/archives/20150805_339851.html]
大震災以来、蔵元のみならず福島県の生産者が数々の苦難を抱えてきたことは誰もが察するところだ。
この完全ブラインド(銘柄を隠しての審査)のIWCで福島の酒が世界一を獲得したことは大きな意味がある。
受賞後、唐橋社長は流暢(りゅうちょう)な英語で力強く「この受賞は未来への希望につながる」と語ったが、世界への情報発信の機会で、福島の酒が頂点を極めたことは大きな成果だ。
[引用/参照:http://www.sankeibiz.jp/business/news/150724/bsc1507240500004-n1.htm]