いまテレビの現場は、面白い企画ではなく、いかにスポンサーや視聴者から抗議が来ない番組を作るかということばかりを考えて疲弊している。
なかでも番組作りで絶対に避けなければならないのが、「イジメ」と「過剰な下ネタ」だという。
『ひょうきん族』は放送禁止
「以前なら、たとえばバラエティの番組中で、出川哲朗さんが一人だけ理不尽な扱いをされて笑いをとることが多かった。でも、いまは『イジメ』を連想させるというクレームが来る可能性があるので、やりにくくなっています。
ダチョウ倶楽部の上島竜平さんの『アツアツおでん』や『熱湯風呂』が最近見られないのも同じ理由ですね。
このままだと『ハゲ』『デブ』や『出っ歯』という言葉も番組中で使用できなくなるかもしれません。
下ネタも同様です。女性タレントがバナナや棒状のアイスを食べるシーンですら、視聴者に性的にとらえられるかもしれないと自粛しています。
アニメ『クレヨンしんちゃん』で、男性器を象にたとえて描くシーンがありましたが、それすらいまは放送できなくなっています。
こんな調子で現場の制作スタッフが萎縮していたら、毒のない無難な企画ばかりになってしまう。面白い番組なんてできるわけがないですよ」(ベテラン放送作家)
かつて一世を風靡した加藤茶の「ちょっとだけよ」といったお色気ギャグや、『オレたちひょうきん族』の懺悔室のような「お仕置き」コントはもう見られないのだ。
近ごろの視聴者は局ではなく、番組スポンサーに直接苦情を入れる傾向にある。すると、スポンサーはテレビ局に抗議する。
また、ネット上で騒ぎになるだけでも、イメージダウンだとスポンサーは問題視する。それを番組プロデューサーは恐れている。
バラエティであれ、ドラマであれ、台本の1ページ目には提供スポンサーが明記され、スタッフは目を通して刺激しないように意識する。
民放のドラマ制作担当のディレクターが明かす。
「あるドラマで、子役が休日の昼ご飯を食べるシーンがありました。子役が母親に用意してもらったカップラーメンのフタを開けながら『ヒドイなぁ。お昼、カップ麺か……』と言うセリフがあったんです。
それに対して後日、プレビューを見た局の営業サイドから差し替え要求がありました。『カップ麺メーカーのスポンサーからクレームがついたらどうするんだ』というわけです」
モザイクだらけの画面
バラエティでは、メインのスポンサーの意向を過剰に忖度してゲスト選びに苦慮している。
同じジャンルのCMに出演しているタレントは共演できない、そもそもスポンサー企業のイメージと合わない……そう考えているうちに、どの番組でも、同じような組み合わせのタレントがひな壇に並んでしまう。
民放報道番組のスタッフも悩みをこう明かす。
「撮り直しができる番組はまだいいですよ。情報や報道番組はもっと大変です。屋外で撮影をしているとどうしても自動販売機やコンビニが映り込んでしまうことがあるし、居酒屋で取材をすればビール瓶がチラッと映ってしまうこともある。
もしそれが、スポンサーのライバル企業のものだったら大変なことになります。放送前はそのチェックに神経をすり減らしているんです。その結果、画面がモザイクだらけで、何が何だかわからない映像になってしまうこともあります」
実際にクレームが来るかどうかはわからない。だが、もし問題化すれば、担当者の左遷や番組打ち切りもありえる。ゆえに「自主規制」を過剰に設けてしまっている。
それは政権に対しても同様だという。
’93年、テレビ朝日の椿貞良報道局長(当時)が選挙時の番組方針について反自民を宣言し、放送法に基づく免許取り消しが取り沙汰された「椿事件」が起きた。
確かにテレビ放送は免許制度である。だが、椿事件以降はそれを意識しすぎて、選挙報道の際に無言の圧力を感じてあからさまに委縮する。いま選挙の際に政治家に斬り込んでいくのは、テレビ東京でキャスターを務める池上彰氏くらいだ。
自主規制でがんじがらめとなり、視聴者は離れていく。本末転倒のこの事態を招いたのは、テレビ自身だろう。そして、過敏に反応するスポンサーと私たち視聴者かもしれない――。
[via:「週刊現代」2018年2月10日号より]
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54346
ネットの反応
・怒られてもアホなふりして聞き流せよ
・基地外クレーマーとか少数の声とかに敏感になりすぎ。
・クレームはともかくスポンサー云々は自分たちが勝手にやってんじゃん
・クレームなんか無視すれば良いんだよ
・「出来ない」んじゃなくてただ「やらない」だけなんだろ
・傷つく人がいるから何も作れないとかクリエイターの風上にも置けんわ
・へー、でもそれ以上のことを平気でやってるように見えるけどねー
・スポンサー配慮のモザイクは本当に不要
・街歩き番組は自販機 サラ金看板 電柱の番地表示 通行人の顔・・・全部ボカシだらけ
・外撮りのモザイクはやりすぎ。
>自宅の入口とかだと場所を特定されないようにだろうなぁ
>あれはヤクザ対策だから 「うちの女が映ってたから出演料はらえやー」ってのが横行してね
・スポンサー提供の文字と被るから出演者の服にさえモザイク掛けるもんね
・「おまんこって言葉、真面目な小説ではOKなのに、うちや、夕刊紙、週刊誌では使えないんですよ」
昔、白夜書房の名物編集者がぼやいていた
・今はもう視聴者も「スポンサーに苦情入れる」って術を知ってしまったから無視するわけにもいかない
・中指立てたきゃ殺される覚悟で
・そう考えるとロンハーとかかなり攻めてんだな
・形は違えど雁字搦めなのは何処の業界も一緒 そこを上手いことやるのが仕事だろ
・規制は平等にかけられている その中で面白いものを作ればいいだけの話
・テレビなんか昔から国にキンタマ握られてる免許事業やん
ちょっと何かしでかしたらギュッとやられてキャイン!てなる
・自主規制皆無なamazon primeで唯我独尊な番組を作れば良い、TVなんてもう終わってる
・NHKなんか逆に自由過ぎると思うくらい商品名を平気で映すようになったな
・実際問題として、民放のバラエティは、よく企画考えて面白く作ってるとは思うわ。
ただスポンサーが最近はクズ企業だらけでこいつらが横やり入れてきたら、大変だとわ思う。
・結局は面倒事を避けたい自分たちの保身でつまらなくしてるってことじゃん
・大事なお知らせとか言って番宣ぶち込むのを自主規制してくれないか?
この結果を招いたのは視聴者側だという認識を持てないから物事の本質を見抜けずに盲目になる。
テレビ局に対して飛躍した理屈でクレームを入れる視聴者こそ批判されるべき。
そしていつの時代も週刊誌はテレビ叩きをネタにしているが、週刊誌だって広告主や連載作家に対して過剰な自主規制を敷いてタブーと化している。
さりげなく自民党批判に持って言ってるな。