漫才日本一を決める大会『M-1グランプリ2018』(朝日放送)で、結成6年目の霜降り明星が優勝を勝ち取った。インターネット上では、ボケ担当・せいやの過去が「泣ける」と話題になっている。
審査員を務めたお笑いコンビ・ナイツの塙に、「吉本の宝」と言わしめる圧巻の漫才を披露した霜降り明星。
2018年は『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系)でも、史上初コンビ揃っての決勝進出を果たし話題を呼んだことが記憶に新しい。
『M-1』に先駆け、せいやは今年1月に放送された『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)において、もっともすべらなかった話を披露した芸人に送られる「MVS」を受賞するなど、一部では注目された芸人であった。
関西では、今田耕司MCの『今ちゃんの実は』(朝日放送)や東野幸治MCの『マルコポロリ』(関西テレビ)といった人気番組に出演するなど、その頭角を現していた。
そんな彼らが「大切にしたい」と話す冠ラジオ『霜降り明星のだましうち!』(ABCラジオ)では、せいやが学生時代に受けた壮絶ないじめについて明かしていた。
いじめのストレスで抜け落ちる頭髪
小学生の頃から漫才でテレビに出演するなど学校の人気者だったせいやだが、高校に進学するとその風向きが変わる。中学までと同じように周りを笑わそうと務めたことで、いじめを受けるようになったのだ。
そのいじめは壮絶なもので、ストレスで頭髪が抜け落ち、母親から「転校してほしい」と心配されるほどだったという。
しかし、せいやは「負けたくない」「笑いでいじめを跳ね返そう」と決意。いじめを受けながらも明るく振る舞うことを忘れなかった。
日々いじめが続く学生生活だったが、転機が訪れる。高校の文化祭で劇を作るようになったとき、いじめグループから「お前ひとりで作れ」といわれたせいやは、自作のコントを発表。
そのコントが文化祭で表彰された。そして、せいやが表彰式の壇上の上で「いじめ跳ね返したぞー!」と叫んだところ、生徒や教師たちから「うおー!」と歓声が湧きあがったという。
それをきっかけにいじめはなくなったそうで、せいやは「僕は笑いでいじめを跳ね返したんですよ」とラジオで話していた。
霜降り明星・せいや学生時代
霜降り明星の『M-1』優勝で、笑いでいじめを跳ね返したというエピソードがツイッターで拡散。「すごすぎる」「泣けた」など感動の声があがっている。
「霜降り明星のせいやさんのいじめからの生還エピソードがすごすぎる」
「いじめを笑いで返すのは素晴らしすぎる」
「せいやさん、脱毛症なるレベルのいじめ受けてたのに笑いで解決させたとは…」
圧倒的な実力と華を兼ね備えるお笑いコンビ・霜降り明星。今回話題になったせいやのエピソードなど、笑いを信じ愛した彼らの魅力はまだまだ計り知れない。
[via:しらべぇ]
https://news.nifty.com/article/item/neta/12189-20161905890/
粗品の涙で甦った6年前のあの光景
若いコンビが優勝したことは「大会に新しい風を吹き込む」という点でもよいことでしょうし、二人ともR-1ぐらんぷりにピン芸人として出場した経験があるほどの力のある芸人ですから、今後のブレイクはまちがいないでしょう。
ところで私は霜降り明星が優勝する姿をみて、6年前の「ある光景」を思い出し、つい涙ぐんでしまいました。
大阪で毎年暮れに放送される、「オールザッツ漫才」(毎日放送)という番組をご存じでしょうか。1990年に放送開始され、年の瀬の深夜に、若手の漫才やネタを5時間延々と流すお笑いファン垂涎の番組です。
「ここでウケた芸人は、必ずブレイクする」といわれるほどで、過去にはシャンプーハット、陣内智則さん、ケンドーコバヤシさん、とろサーモンらがこの番組内で爆笑をかっさらい、その後、スター街道を歩んでいきました。
この「オールザッツ漫才」では例年、若手芸人がネタを競い合うトーナメントバトルが行われるのですが、このトーナメントの2012年の優勝者が、霜降り明星のツッコミの粗品さんだったのです。
当時の粗品さんはまだコンビを組んでおらず、ピン芸人として出場していたのですが、過去に類を見ないニュータイプの「フリップ芸」を披露したあの時の衝撃は、いまでもしっかりと覚えています。
そして、最も印象的だったのが、優勝した直後に放った一言でした。
番組MCの小藪千豊さんと笑い飯さんに「優勝したから、これから売れるで。ピン芸人としてやっていくの?」と聞かれた粗品さん。なんのためらいもなく、
「僕は、スーツを着て、漫才がしたいんです」
と力強く返したのです(ちなみに、この時の彼の衣装はパジャマでした)。
この言葉を聞いて以来、私は粗品さんがいつか抜群に面白い相方を見つけて、M-1に臨む日が来るんだろうな、と夢想しながら、その日を楽しみにしていました。
その後、せいやさんと霜降り明星を組んでからの快進撃は、私が語るところではありません(二人がコンビを組むまでにも、芸人ならではのドラマがあります。それはまた、どこかで別の詳しい方が書かれることに期待したいです)。
それから6年後。いつか漫才をやりたいと言っていた青年が、スーツ姿で決戦の場に現れ、全国を爆笑の渦に包み、見事に優勝した――それが、2018年12月2日のM-1グランプリだったのです。
あのパジャマ姿の彼が、M-1で優勝する日が来るとは……と感動せずにはいられませんでした。
私と同じように、霜降り明星がM-1で優勝したあの瞬間、オールザッツ漫才で優勝した粗品さんの姿を思い出したお笑いファンは少なくないはずです。
[via:現代ビジネス]
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58762?page=2
「オールザッツ漫才」2012年