美女=パッチリした目。
現実の世界やアニメの世界でも、この図式が定着して久しい。
でも、江戸時代までの美人画を見ると、切れ長で細目の人が多かったような…。
僕らはいつの間に、目の大きい女性を美しいと感じるようになってきたのか? 『かお・カオ・顔』の著者で大阪大学大学院人間科学研究科の大坊郁夫教授に聞いてみました。
「現代において”美人”とされる目の大きな女性は昔も多く存在し、魅力的とされていたとは思います。ただ、日本では古くから控えめな女性を良しとする文化があり、大声で笑ったり目をむいて怒ることは下品とされました。美人画の女性に細目やおちょぼ口が目立つのは、文化的な意味での理想像だったからなのでしょう」
だとしたら、いつごろから目の大きな女性が美人とされるようになったのですか?
「日本人の美人像の転換期として、西洋文化が流入した明治時代が挙げられます。
化粧はその一つで、目を強調するメイクが伝わりました。
そうした海外の価値観が入ることで、抑制されていた目の大きさに対する意識が変化、解放されたと考えられます。
例えば、明治時代に行われたミスコンテストで1位になった”末広ヒロ子”さんが、目鼻立ちのしっかりした現代的な美人像に近いことからも変化が見てとれます」
では今後も何かのきっかけで美人像が変化するなんてこともありうるのですか?
「近年、コミュニケーション方法が間接的になってきており、感情を顔に表すのを苦手とする人が増えたような気がします。
特に目はコミュニケーションの発信元であり、目の表現力が豊かな人ほど魅力的な印象を与えやすかったりします。
なので、今後はさらに目が大きく感情表現が豊かな人が”美人”とされるのではないでしょうか」
目を大きく見せる化粧テクやプリクラの補整機能が流行る背景も、対面コミュニケーションの減少が影響していたということでしょうか…。
なんとも目からウロコな話でした。