HIPHOPユニット・Creepy Nutsが、13日放送の日本テレビ系バラエティー『マツコ会議』に出演。マツコ・デラックスと、日本のテレビ・HIPHOPの未来を涙ながらに語り合った。
日本のHIPHOPの可能性について語るマツコとR-指定に、DJ松永は「日本でHIPHOPが広まったらうれしいと思う反面、日本だとどうしても限界があるなと思っていて」と、かつてフリースタイルダンジョンが爆発的に流行したのと同時に、罵り合いの言葉たちが炎上してきたのを目の当たりにし、限界を感じた胸の内を明かす。
言葉の殴り合いであるラップが、日本の倫理的なハードルがある限り、これ以上発展することは無理なのではという問いに、マツコが
「なんで、アメリカでHIPHOPが根付いているかっていうと、あれがリアルな人が相当数いるわけですよ。
日本もそんなにみんなが平和であることを信じる国ではなくなってきて、叫びみたいなものが生まれやすい環境にはなっていると思う。
不安感だったり、怒りだったりは以前よりも大きくなってきているから、それをのせるには、HIPHOPがすごく適任だと思っている」と指摘。
「HIPHOPがこれ以上大きくならないっていうのは、違うと思う。それはなぜかというと、テレビだからダメなのよ」と切り出した。
マツコの言葉を聞いていたDJ松永の目から涙が。
「ちょっと、わかってくれすぎてうれしい」と思いを伝えると、マツコも「不意だったから、私も涙出てきちゃった。難しいですよ。テレビでやるっていうのは」と涙をぬぐった。
R-指定は「あそこで『HIPHOPが聖人君子たちがやっているものじゃないぞ』っていうまでは、伝わらなかったというか。テレビに映っている時点で、どこかそこはクリアしているもんなんやっていうのがあったのか…」と思いを口にした。
マツコは「でもね、私ね、まだ今ってまだまだ過渡期だと思っていて。それはHIPHOPに対してだけじゃなくて、いろんな表現っていうものに対して。私も相当苦しんだ口なのね。テレビ向きじゃない人間なんで。
それをすごいテレビの人たちがテレビに合うようにしてくれて、世の中に出してくれたから、売れたと思っているのね。
だから、その部分は感謝しているし、恩返しをするための仕事をやっているけど、それが自分の本質的なものだとはいまだに思ってないから。
HIPHOPだけじゃないけど、いろんなものが実はテレビとなじみが悪いって、そういうことだと思うのよね」との持論を展開。
続けて「昔って、テレビってさ、一言で言えば全部ウソだったんだよ。ウソっていうと言い方が悪いけど、演出が全部かまされたものがテレビだったから。
今って、リアリズムみたいなのが求められている中、本当のことをウソっぽく言うのがエンターテインメントなのよ。例えば、誰かの悪口を楽しく言うからエンターテインメントなのよ。
だって、人が笑ったりとか心が動くのって、変なことを言っているから動くんじゃん」と吐露した。
DJ松永は「作り物なのに、本物だって出さないといけないし、受け手側は本物だと思って受け取るから、出る側は消費されるし。
絶妙な機微だったり、長文じゃないと説明できない言葉をギュッとかいつままれると、まったく逆の意味になっちゃうリスクがあるから。R-指定みたいに、言葉を丁寧に扱う人はリスクあるな」と涙ながらに告白。
マツコが「これは私、崩壊は間近だと思っていて、ここまできてしまったら、エンターテインメント成立しなくなるのよ。世に出て、人に触れて、メジャーになった途端に、表現っていうものがもはや存在しなくなるかもしれないのよ。
矢面に立った瞬間に、これはピークなのよ。そこからもう消滅していくものがショーになっている」と冷静に語っていった。
R-指定の「出た時点で全部気をつけなアカン。人質に取られた感覚で行動や言動を発してしまう」
という言葉を受けて、マツコは
「すべてがそうなっていると思う。エンターテインメントだけじゃなくて、会社だったり、学校だったり、政治だったり。
夢も希望もないこと言うかもしれないけど、私はいっぺん壊れるしかないと思っていて。相当なジャンルが崩壊の後に、また新たに生まれるんだろうなって…」
と話した上で、松永の涙を見て
「これくらい本気でやっているっていうことですよ…。もうね、でもあんたたちみたいな若い人たちをみるのが一番喜びなんですよ。頑張ってほしいわ、こういう人たちに。
伝わるものって、全部熱量ですよ。熱量しか人に伝わらないのよ。すごい回になったわね」と呼びかけた。
その上で「今編集があるんだから、あとでカットすればいいんだから、言いたいことを言えばいいんだよ。それをキレイに編集した方が絶対に面白い空気は出るし。
でも、もう見ていると、みんな言葉を選んで言っているし、そもそも戦いに来ていないし。なんか、通りすがりで台本通りに、なんか食って感想言って帰ればいいっていう人ばっかりだよ。
いろいろ考えているのよ。どのタイミングで身を引こうかなって、ずっと考えている」と率直な気持ちを打ち明け、こう締めくくった。
「本当の大事な魂まで売り出したら、私はたぶん死ぬまでテレビにすがって、哀れな姿をさらし続けて、笑ってもらっているんじゃなくて、笑われて生きるようになるから。
最後に絶対売っちゃいけないものを売りすぎ、みんな。自分もけっこう追い詰められているから、あの涙はつらい。本当に嫌だわ。
泣いてる意味は各々みなさん勝手に感じてくださっていいんですけど、絶望と希望が入り交じった涙ですよ」
番組の模様は「TVer」で見ることができるので、出演者たちの表情や思いは映像を通して感じてほしい。
[via:ORICON]
https://www.oricon.co.jp/news/2213822/
マツコの言葉に反響
今回の放送について、ネット上では
「絶望と希望の入り交じった涙っていう言葉が刺さって抜けない」
「マツコ会議の松永さんの涙、業界は違えど凄い共感出来る。そしてマツコさんの絶望と希望が入り交じった涙。なんて凄い言語化だ」
「絶望と希望が入り交じった涙…見えなくていいものまで見えすぎる時代。エンタメの矢面に立つ人たちの葛藤が垣間見えた。すごい回でした… 」
などのコメントが上がっています。
松永さんが人目を憚らず号泣したワケを「絶望と希望が入り交じった涙」と表現したマツコさん。その言葉が視聴者の心にも刺さったようです。
[via:COCONUTS]
https://coconutsjapan.com/entertainment/post-70899/70899/
ネットの反応
・マツコがめっちゃいいこと言ってて感動したわ
・なんで泣いたんや
>言いたいことも言えない世の中で表現者として追い詰められてる
・息苦しい不寛容と過剰反応な令和の世を表示した良い内容だった。
・この回ギャラクシー賞相当の回だと思う。
・マツコの言葉にグッときて泣ける…。凄く理解ある方。
・全てのことがきれいになりすぎていて、早くて、どんどん変わっていく今が本当につまらなく感じていたので、マツコさんの言葉に泣けました。
・ガチで向き合ってる人達の涙は美しい…わしもテレビの前で泣く。
・熱量が伝わって、マツコさんも松永さんも感極まって泣いてるのが色々とすごい
・見てた。成し遂げた先に何もないエンターテイメントって本当に息苦しいな。
・難しいな。世間の空気を読まなきゃいけなくなったら、それ以上発展することはないよね。
・エンタメだけでなく、会社も学校も政治も全部1度リセットされるべき時期だと本当に思います。
・これは深い回だった。マツコは今の日本のテレビの現状をピシリと論じていたし、松永の迷いや誠実さや純粋さみたいなものにはぐっとくる。
・HIPHOPやるってことは犯罪すれすれかそのものな人たちの価値観を心の中に置くってことなんだけど、日本でそれをやると秒で駆逐されちゃうから、心が股裂け状態になるってことなんだな。
・みんな言葉を選んでるってその通りだよなあ。
・松永逆張りすぎて壊れちゃったのか
・TVなんかクソが!くらいのスタンスだったのに最近売れてきたせいでちょいちょい普通ぶるのがな
・松永はテレビ慣れしたとか丸くなったとか言われるけどテレビはクソだみたいなことをわざと言わされるキャスティングもされてきてるし色々考えるとこあったんだなと。
・都合良く消費されてることもRがネタにして歌詞書いとるやん
・R指定はこういう時に泣かんのな 男らしいわ
・いわゆるヒップホップ的な文脈(裏社会やドラッグみたいな)からではなく、普通の人の視点を持ったまま成り上がり、ヒップホップ界を黙らせてきたCreepyNutsが、有名になった時点で「TV的キャラの消費」の対象になってしまった。おそらく2人とも早い段階から気づいていて、Rがあまりバラエティに出なくなった一因でもあると思う。
・もともと本音をいうタイプのマツコと、生い立ちや本音を歌うヒップホップは相性がいいのだろう。
・谷川俊太郎作「うそとほんと」を読んだときのような素晴らしい回でした。そして「熱量が伝わる」というのも、本当にその通りだと思います。
・テレビをたまたま付けたら松永が号泣してて何事!?と思って気になっていた。TVerあるのありがたい。
・マツコ「テレビ、エンターテイメントは崩壊に向かってる」最近のテレビを見てて同意。神回でした。マツコ、引き際考えてんだね…
・マツコ会議グッときたな。上手く言語化できないけど自分の気持ちを共有できる人がいるのは救いだな。絶望の中にも希望はあると思いたい…けど結局希望は絶望に潰されるんだよ…
・マツコが多くの人たちに支持される理由が本当によくわかる回でした
・その昔上岡龍太郎がテレビは嘘やバカバカしい事をさも真実の如く本気でやるから面白いのであってそのテレビが本当の事を写し出したらこの世界は終わるだろうと語ってたけどよもやそんな時が来るとはね…。
・Rは耐えきれんくなってションベン行ってたの草
ヒップホップの暴言OKならネットの炎上も誹謗中傷もOKになってしまうぞ
やってることと内容は同じことだし
それよりR指定が売れることによる旨味がどうとか言ってたけどそもそも目的は何なん?
いい音楽をやり続けるために売れるんなら分かるけど叩かれるようなこ事を言ったりしたりする為に売れたいわけじゃないでしょ
不純な本音が見え見えなんですわ
芸能界だろうがテレビだろうが仕事は仕事
人に後ろ指さされるようなことしなきゃいい
それが嫌ならアンダーグラウンドでやってろ
↑お前ヒップホップやな