公式に姿を現したのは初めての藤島ジュリー景子社長
ジャニーズ事務所の代表取締役社長・藤島ジュリー景子氏(56才)が5月14日、ジャニーズ事務所の公式ホームページに動画を公開。
4月から明るみになっていた、ジャニー喜多川前社長(享年87)の過去の性加害問題について、公式見解を語った。
各メディアには、【故ジャニー喜多川による性加害問題についてジャニーズ事務所の見解と対応】と題された書面も配布。
藤島ジュリー景子社長自らが「創業者ジャニー喜多川の性加害問題について、世の中を大きくお騒がせしておりますこと心よりお詫び申し上げます。何よりまず被害を訴えられている方々に対して深く、深くお詫び申し上げます」などと語った。
ジュリー社長は、ジャニー喜多川前社長の姪として同事務所の仕事に関わり始めてから約30年で、公に姿を現したのは初めてとなった。
『週刊文春』1999年のジャニーズ記事
「週刊文春」が報じてきたジャニー氏の性加害
ジャニー氏の性加害を巡っては、小誌「週刊文春」が1999年から14週にわたってキャンペーン記事を展開。取材班は15人ほどのジャニーズJr.の少年たちから生々しい証言を引き出した。
そして「ユー、今日ウチへ来る?」などの誘い文句でジャニーズJr.の少年たちを“合宿所”と呼ばれる自宅や滞在するホテルの部屋に招き、性的な行為をしていたことなどを指摘。
また、被害を受けた少年の多くが、キャスティング権を握るジャニー氏に逆らえず、虐待を拒絶出来なかった実態も浮き彫りとなったのだった。
キャンペーン開始直後の1999年11月、ジャニー氏とジャニーズ事務所は、小社・文藝春秋に対し名誉毀損の損害賠償を求めて提訴した。審理では、ジャニー氏本人や記事で証言した少年2人も出廷した。
2002年3月の東京地裁判決は少年らの供述の信用性を認めず、小社が敗訴。メディアはその事実を大きく取り上げた。だが東京高裁では状況が一転。2003年7月に下された判決ではジャニー氏の性虐待について、こう論じられている。
〈原告喜多川が(中略)セクハラ行為をしているとの記述については、いわゆる真実性の抗弁が認められ、かつ、公共の利害に関する事実に係るものである〉
ジャニー氏の性的虐待を認定し、名誉毀損には当たらないとしたのだ。その後、ジャニーズ側は最高裁に上告したが、2004年2月に上告棄却。高裁判決が確定した。なお現社長のジュリー氏はこの時、事務所の取締役に名を連ねていた。
ジャニー氏の性的虐待は2004年に事実性が確定している
だが、一審判決を扱った多くのメディアは、掌を返したように一切触れず、全国紙も朝日新聞と毎日新聞が小さく報じたのみだった。テレビ局は言うに及ばず、広告業界も何事もなかったかのように、ジャニーズ事務所のタレントの起用を続けた。
結果、ジャニー氏は行為を改めることなく、プロデューサー業を生涯全うした。そしてジャニーズ事務所は、業界最大の売り上げを誇るプロダクションとして君臨し続けた。
BBC『Predator:The Secret Scandal of J‐Pop』
英BBCが「ジャニー氏の性加害問題」を特集
それから約20年が経った今年3月7日午後9時。英国営放送「BBC Two」のゴールデンタイムで、約1時間の番組『Predator:The Secret Scandal of J‐Pop(プレデター~Jポップの秘密のスキャンダル)』が放送された。
番組では被害を受けた元ジャニーズJr.の男性3名が顔を出して登場し、被害を語った。
2017年に「ニューヨーク・タイムズ」紙が報じた映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインの女優たちへの性加害問題をきっかけに、「#MeToo」運動が起こった。
BBCも、日本メディアに黙殺されてきた性加害を、再び掘り起こしたのだった。
BBCの報道で衝撃的だったのが、高裁判決が確定した後も、ジャニー氏が性的虐待を続けてきたことだ。そこで小誌は改めてこの問題について取材を進め、これまで12人の元ジュニアが被害を告白している。
そのうちの一人であるカウアン・オカモト氏(26)が4月12日、日本外国特派員協会で記者会見を開くと、国内外問わず多くのメディアが集まり、これまで沈黙してきた日本の大手メディアも続々と報じ始める事態となった。
そして、5月10日発売の「週刊文春」では元ジュニアの橋田康氏(37)も新たに実名・顔出しで性被害を告白した。《中略》
カウアン・オカモト氏の会見
ジャニーズ事務所の異常経営が判明
芸能界を代表する事務所が、取締役会も開かれないほどの異常な経営が行われてきたことを、自ら明かしたのだ。
また小社との裁判で性加害が認定されたことについても<詳細については私には一切共有されておらず、恥ずかしながら今回の件が起こり、当時の裁判を担当した顧問弁護士に経緯確認するまで把握できておりませんでした>と述べたのである。
<私個人としては、取締役という立場でありながら、積極的にその責務を果たせなかった点について、大きな落ち度があったと考えております><私が辞職する選択肢も考えました>としているが、裁判の詳細は調べればわかることであり、裁判後も事態を取締役として放置し続けた責任は非常に重い。
性加害は事務所ぐるみだった
またジャニー氏の性加害については、小誌が既に報じてきたように、スタッフがタレントをジャニー氏の泊まるホテルまで送り届けるなど、“事務所ぐるみ”であったことも明らかになっている。
だがジャニーズ事務所は小誌の取材に対しては沈黙を続け、今回のジュリー社長の説明でもそれに触れられることは無かった。事務所の責任問題については、いまだに残されたままだ。
5月17日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」、18日(木)発売の「週刊文春」では、ジュリー氏の謝罪動画の舞台裏、性被害への対応を巡り揺れるタレントたち、スタッフもジャニー氏から性被害を受けていたこと、メンバーの退所が近付いているKing & Princeの動向などについて報じる予定だ。
[via:文春オンライン]
https://bunshun.jp/articles/-/62831
ジュリー社長【全文】動画内コメント
株式会社ジャニーズ事務所代表取締役社長、藤島ジュリーでございます。この度は、創業者ジャニー喜多川の性加害問題について世の中を大きくお騒がせしておりますこと心よりお詫び申し上げます。
何よりもまず被害を訴えられている方々に対して深く、深くお詫び申し上げます。そして関係者の方々、ファンの皆様に大きな失望とご不安を与えてしまいましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
大変遅くなりましたが、各方面よりいただいていたご質問に対して、このあと書面にて回答させていただきます。
この問題では、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんは、先月、記者会見で、「15歳で入所した2012年から16年の間に、ジャニー喜多川氏から15回から20回にわたって性被害を受けた。
他の少年も被害に遭うのを見た」などと訴えています。またJNNの取材に、俳優でダンサーの橋田康さんら元ジャニーズJr.の複数の男性が喜多川氏から性被害を受けたと証言していました。
発表された文書では、ジュリー社長が「各方面からの質問に答える」という形で次のように回答しました。
《各方面から頂戴したご質問への回答》
■なぜ、すぐに会見を行わなかったのか?
まずは事実を確認し、責任を持って対応すべきだと考えました。個人のプライバシーにも関わる非常にデリケートかつセンシティブな問題であったため、カウンセラーや弁護士など専門家の協力を得ながら、声をあげられた方とのご対面、社内調査、具体的対応策についての協議等を慎重に進めておりましたことから、広く皆様にお伝えするまで時間が経ってしまいました。対応が遅くなった点に関しまして、お詫びいたします。
■BBCの番組報道、またカウアン・オカモトさんの告発について、どのように受け止めているのか?
事実であるとすれば、まず被害を訴えておられる方々に対してどのように向き合うべきか、また事務所の存続さえ問われる、極めて深刻な問題だと受け止めました。あらためて事実確認をしっかりと行い、真摯に対応しなければならないと思いました。
■BBCの番組報道、またカウアン・オカモトさんの告発は事実か?
当然のことながら問題がなかったとは一切思っておりません。加えて会社としても、私個人としても、そのような行為自体は決して許されることではないと考えております。
一方で、当事者であるジャニー喜多川に確認できない中で、私どもの方から個別の告発内容について「事実」と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではなく、さらには憶測による誹謗中傷等の二次被害についても慎重に配慮しなければならないことから、この点につきましてはどうかご理解いただきたく存じます。とは言え、目の前に被害にあったと言われる方々がいらっしゃることを、私たちは大変重く、重く受け止めております。
ジャニー喜多川氏とメリー喜多川氏
■ジャニー喜多川氏の性加害を事務所、またジュリー社長は知らなかったのか?
知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした。
このことを説明する上では、当時のジャニーズ事務所がどのような意思決定で運営されていたかについて、ご説明する必要があると思います。
週刊文春から取材のあった1999年の時点で、私は取締役という立場ではありましたが、長らくジャニーズ事務所は、タレントのプロデュースをジャニー喜多川、会社運営の全権をメリー喜多川が担い、この二人だけであらゆることを決定していました。
情けないことに、この二人以外は私を含め、任された役割以外の会社管理・運営に対する発言は、できない状況でした。
また管轄外の現場で起きたことや、それに対してどのような指示が行われていたのか等も、そもそも全社で共有されることはなく、取締役会と呼べるようなものも開かれたことはありませんでした。
本件を含め、会社運営に関わるような重要な情報は、二人以外には知ることの出来ない状態が恒常化していました。振り返るまでもなく、その状態は普通ではなかったと思います。
ただ、1962年の創業時からずっとこの体制で成長してきたこともあり、ジャニーとメリーの二人体制=ジャニーズ事務所であることを、所属する全員が当然のこととして受け入れてしまっていたように思います。
私自身その異常性に違和感を持つことができなかったわけで、ただただ情けなく、深く後悔しております。
■2003年の週刊文春との高裁判決で敗訴しているが、その時点でもまだ、性加害の事実を認めなかったのか?また何も対策をしなかったのか?
この訴訟は、週刊文春の記事に対し「許しがたい虚偽である」とメリーが憤慨し、名誉毀損であるとしてジャニーズ事務所側が文藝春秋社らを訴えたものでしたが、その詳細については私には一切共有されておらず、恥ずかしながら今回の件が起こり、当時の裁判を担当した顧問弁護士に経緯確認するまで詳細を把握できておりませんでした。
あくまで私の推測ですが、メリー自身もジャニーの問題とされている行為に対しては、心の底から「やっているはずがない、ありえない」そう思っていたからこそ、自ら民事裁判で訴えに出たのだと思っております。
最終的に私どもが一部敗訴し、週刊文春の記事が名誉毀損とまでは言えないと判断されましたが、当時の裁判を担当した弁護士、裁判に関わった役員へのヒアリングによるとその時点でもジャニー本人は自らの加害を強く否定していたこともあり、結局メリー及び同弁護士から、ジャニーに対して「誤解されるようなことはしないように」と厳重注意をするにとどまったようです。
いずれにせよ私個人としては、取締役という立場でありながら、積極的にその責務を果たせなかった点について、大きな落ち度があったと考えております。
■再発防止策をどのように考えているか?
再発防止策を講じるにあたっては、初期の段階から弁護士をはじめ、様々な分野の有識者の方々から、会社としての問題点や改善策についてご指摘やご意見をいただいてまいりました。
大前提として、私が代表に就任して以降は、エンタテインメント業界という世界が特殊であるという甘えを捨て、コンプライアンスの強化を進めており、「ホットライン(匿名相談窓口)の設置」、未成年に対する「保護者同伴の説明会の実施」、「コンプライアンス教育の実施」、「保護者宅からの活動参加」等を推進してまいりました。
しかし今回の件を受け、二度と同じような事態を起こさないためにも、外部からの協力も得ながら「コンプライアンス委員会」を設置しており、これまで以上に取り組みを強化、徹底させてまいります。
さらには、企業のあり方や社会的責任として不安な点がないか、社内外に適切なコミュニケーションが行われているか、また社内の価値観や常識だけで物事を判断していないか等、外部の厳しい目で指摘する役割として、社外取締役を迎え入れて経営体制を抜本的に見直すよう、現在人選、依頼を進めております。
新しい社外取締役については、確定次第改めて発表させていだく予定です。
■何故、第三者委員会を設置して徹底調査をしないのか?
当初よりこの問題は、社内のみで解決すべきではないとの観点で、第三者委員会の設置による実態の徹底究明のあり方についても、弁護士や外部の専門家・有識者を交えて検討いたしました。
しかし調査段階で、本件でのヒアリングを望まない方々も対象となる可能性が大きいこと、ヒアリングを受ける方それぞれの状況や心理的負荷に対しては、外部の専門家からも十分注意し、慎重を期する必要があると指導を受けたこともあり、今回の問題については別の方法を選択するに至りました。
既に告発された方、また今後あらたな相談をご希望される方のために、外部のカウンセラーや有識者、弁護士や医師の指導のもと、相談をお受けする外部窓口を月内に設置致します。
相談者の秘匿性を守り、客観的にお話をお聞きするため、外部の専門家の協力を得る予定です。
■カウアン・オカモト氏とは会ったのか?会ったのであれば何のために会ったのか?
お会いしました。私が直接お会いして、長い時間お互いにお話をしました。今後このようなことが二度と起こってはならない。その為にも彼が声をあげられたということを深く理解しました。
一方でご本人以外の他人のプライバシーに関わる問題や、憶測を助長するようなご発言に関しては、私の見解をお伝えさせていただきました。まだまだこれからではありますが、私たちが変わるきっかけを下さったと受け止めております。
■被害を訴えてきた方たちに対して、どのように向き合う予定か?
デリケートな内容であり、詳細については検討中ではありますが、被害を訴えておられる方々、精神的に苦しんでおられる方々に対しては、カウンセラーをはじめ、専門家の力もお借りしつつ、誠実に向き合ってまいります。
それをやらずして、私たちに未来はないと考えております。
■ご自身の経営責任をどう考えているか?また責任がある場合どう責任を取るとお考えか?
責任はあったと考えております。当時の私は、取締役とはいいながらも名ばかりとなっており、その職責を果たせていませんでした。
また本件については自らも積極的に知ろうとしたり、追求しなかったことについて責任があると考えております。
責任の取り方ですが、私が辞職する選択肢も考えました。
ただ今すべきはこの問題から逃げることなく、被害を訴えてこられた方々に向き合うこと、さらにこれから先、二度と同様の問題が起こらないよう、既に着手し始めている経営改革、社内意識の抜本的改善をやり抜くことだと考えております。
あらゆる厳しいご意見も真摯に受け止め、所属しているタレントたちの今、そして未来への想いを尊重しながら対話を重ねていく、それが自分にできる責任の取り方だと考えております。
あらためまして心よりお詫び申し上げます。
2023年5月14日
株式会社ジャニーズ事務所
代表取締役社長 藤島ジュリーK.
[via:ジャニーズ事務所]
https://www.johnny-associates.co.jp/news/info-700/
黙殺状態だったスポーツ紙が相次いで報じる
ジュリー社長の顔写真がずらり。沈黙していたメディア、一斉に報じる
4つのポイントを検証
①性加害の事実を認めるかどうか
②2004年の『週刊文春』裁判結審後の対応
③第三者委員会を設置しない理由
④話さなかったこと
被害者が限定される“難しさ”
まず性加害の事実認定についてだが、これについては「『事実』と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではな」い、と明言を避けている。文脈的にも、認めているようにも読めるし、認めていないようにも読める。
そこからは、集団訴訟への発展を避けようとするジャニーズ事務所の苦しい立場も感じられるが、本件特有の“難しさ”もかいま見える。
というのは、カウアン・オカモト氏をはじめとした多くの被害を認めてしまえば、同社所属の現役タレントも被害を受けている可能性を認めることとなり、結果的に二次被害を引き起こしてしまうことに繋がりかねないからだ。
つまりこの曖昧なスタンスは、被害者を救済するのと同時に、現役タレントを保護することのバランスを取ろうとして生じている。「憶測による誹謗中傷等の二次被害についても慎重に配慮しなければならない」と述べているのもそのためだ。《中略》
白波瀬傑副社長の責任
次に2004年に『週刊文春』に対する名誉毀損裁判で、ジャニー喜多川氏の性加害(裁判では「セクハラ」)が認定された以降のジャニーズ事務所の対応についてだ。
当時すでに幹部だったジュリー社長は「知らなかった」と述べ、ジャニー喜多川氏と姉のメリー喜多川氏のふたりが会社運営をほぼ担ってきたと話している。
これは苦しい言い訳のように見えるが、喜多川姉弟の独裁体制は生前からよく知られていたことでもあった。そして、ジュリー社長がいまになってその状況を「異常」と捉えているあたりにも強い悔恨が見える。
ただし、その場合にキーマンとなるのはジュリー社長だけではない。長らく広報を担当してきた白波瀬傑副社長も重要人物だ。
現在70代前半と見られる白波瀬氏は、メディア側には広く知られた存在だ。ジャニーズ事務所は、タレント出演の番組や映画などコンテンツを盾にしてメディア側を操縦してきた。
たとえばジャニー氏は、テレビ朝日『ミュージックステーション』の皇達也プロデューサー(故人)に対し、「(競合グループを)出したらいいじゃない。ただ、うちのタレントと被るから、うちは出さない方がいいね」とタレント引き上げをちらつかせたという(『週刊新潮』2019年7月25日号)。
また2019年7月には、元SMAPの3人の民放テレビ番組出演に圧力をかけた疑いがあるとして、公正取引委員会から「注意」されたことも記憶に新しい。
こうした水面下のさまざま差配を指揮してきたのは、広報担当の白波瀬副社長と見られる。
2004年の『文春』裁判の結審の際も、民放テレビ局をはじめ多くのメディアが追従することはなかった。そうした状況において広報を担当していたのが白波瀬氏だ。
そんな彼が、裁判結果=ジャニー氏の性加害問題を知らなかったとは考えにくい。
ジュリー社長は、当時ジャニー氏が「加害を強く否定していた」と説明するが、その一方で白波瀬氏が報道になんらかの関与をした疑いはある。白波瀬副社長の責任は確実に追及されなければならない。
第三者委員会を望まない理由
3つ目は、第三者委員会を設置しない理由だ。当初から筆者も含め多くのひとびとが望むのはこの対応だが、今回もそれは否定された。
ジュリー社長は複数の理由をあげているが、そのひとつは「調査段階で、本件でのヒアリングを望まない方々も対象となる可能性が大きい」ことだ。そこで想定されている「望まない方々」とは、おそらく所属タレントたちだ。
ここまでの筆者の取材で見えてきているのは、所属する現役タレントたちの多くが第三者委員会の設置に反対していることだ。ただしタレント同士でも温度差があり、調査を望む者もいるという。この問題の複雑さは、やはりここにある。
だが、そもそも第三者委員会は調査内容をすべて公開することを前提とするわけではない。調査結果を公開するかどうかの判断も第三者委員会に委ねなければならない。
そこでは実態解明を目的としながらも、プライバシーに配慮することは当然だ。なにより、現役であるがゆえに被害を押し殺し、そのうえで精神的なケアや補償を受けられないことは不条理だ。
補助線をひとつ引くならば、たとえば2012年にイギリスの人気司会者だったジミー・サヴィルが死後に多くの性加害を行なっていたことが発覚した事件が参考になるだろう。
BBC『ジムにおまかせ」』を19年司会したジミー・サヴィル
サヴィルを番組で起用していた公共放送・BBCは、216ページにわたる長大な調査結果を発表した(”THE DAME JANET SMITH REVIEW”2016年/PDF)。
これは、BBCの施設内で性加害が行われていたためだ。そこでは時系列かつ人物別に被害実態が明らかにされており、当然のことながらプライバシーも保護されている。
隠したい何かがある?
こうした前例がありながらもジャニーズ事務所がかたくなに第三者委員会を拒むのであれば、それはタレントの姿勢以外にも「隠したいなにか」があると邪推されても仕方がない。
たとえば『週刊文春』は、ジャニーズ事務所のスタッフからジャニーズJr.の少年たちを全日空ホテルに送り届けていた証言を得ている(2023年4月27日号)。
それが本当に知らないだけか、あるいは「未必の故意」かはわからないが、そうしたことを解明するためにも第三者委員会は必要だ。
そしてもちろん、ジャニー氏による性加害の実態解明は、単にジャニーズ事務所のためだけに必要なわけでない。それは日本の未来のために必要だ。日本社会が本件を教訓としなければならないからだ。
『MUSIC STATION×ジャニーズJr. Mステ スペシャルLIVE』
「ジャニーズ利権」にすがるテレビ局
最後に、今回のジュリー氏が話さなかったことについてだ。それはジャニーズ事務所のメディアコントロールだ。前述したように、ジャニーズはコンテンツを盾に巧みにメディアを操縦してきた。それを指揮してきたのが、白波瀬副社長であることにも触れた。
今回の件でも、日本テレビ・テレビ朝日・フジテレビの民放3社はいまも積極的にこの問題を報じようとしない。それは、やはり長いあいだジャニーズ事務所とズブズブの関係にあるからだ。
たしかに、確実に数字が取れるジャニーズのコンテンツは、斜陽のテレビ局にとっては決して失いたくないものに違いない。だが、この「ジャニーズ利権」を保持するために、TBS以外の民放局は報道機関としてのプライドを捨てた状態にある。
たとえば定例会見でテレビ朝日の篠塚浩社長は「今後の推移を見守りたい」と発言し、フジテレビの港浩一社長は「事実関係がよく分からないのでコメントは差し控える」とそれぞれ述べた。
『報道ステーション』や『FNN Live News α』というニュース番組があるにもかかわらず、自分たちで調査して報道する気はさらさらない様子だ。
それは、「報道機関としてのオワコン宣言」であるのと同時に、「ジャニーズ事務所の2軍宣言」でもある。
筆者がジャニーズ事務所に望んだのは、「自動忖度機」に成り下がったメディアの“呪い”を解くことでもあった。
ジャニーズタレントがレギュラーのテレビ朝日『ミュージックステーション』には、いまだに競合グループが出演できない状況が続いている。Da-iCE、JO1、INI、BE:FIRSTなどがそうだ。
このうちJO1とBE:FIRSTは『紅白歌合戦』に出場しており、Da-iCEは日本レコード大賞を受賞している。さらにJO1とINIには元ジャニーズJr.のメンバーが含まれている(「ジャニーズ忖度がなくなる日」2023年2月23日)。
ジャニーズは、このようにコンテンツを盾にして報道を左右してきた。これがメディアコントロールだ。
博報堂の雑誌『広告』ジャニーズのハラスメントやメディアコントロールへの言及削除
性加害の温床となったメディア支配
して、こうしたメディア支配こそがジャニー氏が性加害を続けた温床にもなった。
2004年に『文春』裁判が結審したときに追及がなされなかったのも、このズブズブの関係があったからだ。
また、この構造的な関係によって間接的に加害行為へ加担していることを自覚しているからこそ、テレビ朝日とフジテレビは現在も報道に及び腰になっていると推察される(そうでないならば、今夜の番組でちゃんと説明すれば良い)。
ジャニーズ事務所のコンテンツを担保としたメディア支配が続き、それによって追及を逃れたジャニー氏が再度加害行為を繰り返していた可能性について、社会はより重大な関心を向けるべきだ。
この問題は、ジャニー氏の単独行動としてではなく、構造的に読み解かなければなにも解決には進まない。しかも、メディア支配はいまも続いている。
われわれ報道する側は、芸能プロダクションに嫌がらせをしたいから批判するのではない。問題があればそれを指摘して改善を促し、社会をより良くすることが目的だ。
しかし、それが機能不全になったからこそ、ジャニー氏は加害行為を繰り返し、ジャニーズ事務所はいま地獄を見ており、テレビ局もその泥舟に乗って膝まで水に浸かっている。
もうそろそろ目を覚ますときではないか。
問題は始まったばかり
このジャニー喜多川氏の性加害問題は、まだなにも解決にいたっていない。カウアン・オカモト氏とジャニーズ事務所は面談をしたものの、なんらかの合意にいたったわけではない。
さらにその後、『週刊文春』でふたりが実名・顔出しで被害を訴えた。「Me Too」は今後も続く可能性もある。
ジャニー氏の加害行為の全容はまだ見えず、はじめて報道された1960年代から再調査する必要もあるだろう。過去に声をあげながらも、「芸能ゴシップ」として軽視されてきたひとびとに目を向けることも必要だ。
ジュリー社長の声明も、これが始まりであって決して最後であってはならない。強く望むのは、先代の社長・副社長がテレビ局にかけた“呪い”を解くことだ。
この問題が終わるのは、まだまだ先だ──。
[via:Yahoo!News 松谷創一郎]
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichiromatsutani/20230515-00349564
キャスターとして活躍する東山紀之と櫻井翔
所属タレントへの影響は?
ジャニーズには今も多くの人気タレントが所属しており、これから影響はあるのか?
「このような問題に関して、日本よりも国際社会の目はずっと厳しい。昔のことであり、ジャニー氏が亡くなっているとはいえ、事務所の体質は厳しく見られます。
そのせいか『ジャニーズ事務所という名前を変えるのではないか』などという話まで出回ったほど。これから海外進出するにあたって、大きなハンデを背負っていることは間違いない」(芸能関係者)
さらにいま言われているのが「ジャニーズが推し進めてきたキャスター戦略の変更を余儀なくされるのではないか」ということだ。
ジュリー氏は謝罪し、説明したが、それでも日本中が納得という状況では決してない。
「報道番組では、バラエティーとかと比べて格段に清廉潔白さが求められます。ジャニーズ事務所はそうではないと多くの人がジャッジしたら、いくらタレントに問題はなくてもテレビ各局もキャスティングに二の足を踏むから。
今はまだ多くの人の納得感を得られているとは言えない。いま活躍している人たちは特に何もないでしょうが、これからの人たちは新たにキャスターやリポーターに就きづらくなるかもしれない」(制作会社関係者)
多くの人気タレントを抱え、多くのファンに支えられているジャニーズ事務所はこれからどうなるのか。
[via:東スポ]
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/263191
ジャニー喜多川氏の自宅マンションから景色
タワマン地下駐からの出入りが意味するもの
週刊文春との裁判で性加害が認定された2004年以降も被害は続いており、現在の経営陣である藤島ジュリー景子社長ら幹部は被害の実態を知りながら事実上、黙認していたのではないかと言われても仕方がないだろう。
さらにこんな声もある。
「カウアンさんの提供写真を見て、眼下に広がる景色と屋上のプールですぐウチのマンションだとわかりました」
ジャニー喜多川氏が性加害に及んだとカウアン氏が告発したタワマンの住民がこんなエピソードを明かす。
このタワマンは渋谷区内にあり屋上には最上階フロアの住民専用の屋外プールつき。ジャニー氏の部屋は最上階である。さらに1階のエントランスにはラウンジがあり、居住者たちが打ち合わせなどに利用している。
地下には駐車場を備えており、自家用車でそのままマンションに入ることができる。また上層階用にバレーサービスがあり、車の出し入れは全て専任スタッフが車を管理するので、マンションに来たら車を地下駐車場に乗り捨てるだけ。
車を出す際にも事前連絡で人と会わなくて済むという。そんなセキュリティーの高さもあって、芸能人、ユーチューバーなど有名人も多く住んでいるという。
カウアン氏の会見では、ジャニー喜多川氏のマンションは宿泊できる定員は20人ほどで、事前にジャニー氏に電話して許可を得る必要があり、代わる代わるジャニーズJr.たちが宿泊していたという。
しかし、さすがに多くの少年たちが出入りしていれば目立つはずだが。
貨物専用エレベーターで直行
「彼らは1階のエントランスから出入りなんてしていません。最上階のボタン押したら注目しちゃいますし、ましてや子供じゃ目立ちます。彼らはワンボックスカーでまとまって来て、地下駐車場から出入りしている。
住人と顔を合わせないように貨物専用エレベーターを使い、途中階で他の人が乗らないように“直行”ボタンを押して出入りしていました。
エレベーターを待っている時、エレベーター内の様子が小さなモニターで映るのですが、直行ボタンが押されているときは“バックパックを背負った男の子たち”が映し出されていて、あ、ジャニーズの子たちだなと思っていました。
マンションを出る時も、バレーサービスで迎えの車にサッと乗って出ていくので、他の住民と顔を合わせることは少ないですね」
運転免許証を持たない少年たちが地下から車で出入りするには大人のサポートなしにはできないはずで、事務所が無関係とはいえないはず。すべて故人がやったことでは済まされない。
[via:日刊ゲンダイ]
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geinox/322454
青山パークタワー 地下2階から地上34階 10億円[渋谷区]
ネットの反応
・知らなかった?
・予想通り杉
・これで逃げ切るしかないわな
・亡くなってからじゃね。
・動画でも取ってない限り確定はできんだろうな
・知らなかった訳ないじゃん
・フォーリーブスの人が何冊も暴露本出てたのに知らないわけないだろ
・報道されて訴訟まで起こしたのに知らなかったんだ…
・知らなかったは嘘
・30年近く前にジャニーズファンでしたが、当時から言われてた話。一般人が知ってるんだから、知らないふりをしていただけでしょう。
・知らん知らん、言ってるとガチでイギリスから全世界にまかれるぞ
・被害者のプライバシーを守りたいとか言っても嘘っぽい。被害者になる前に守ることできたでしょう。
・最低限「ジャニーズ」という屋号は捨てないとダメだろ
・顔を出して発言したところに覚悟はうかがえる。
・絶対的支配者のジャニー&メリーがいなくなってから貧乏くじを引かされてる訳だから多少は同情する
・知ってはいたけれど、追求できる立場ではなかったと言った方がしっくりくる。
・このご時世、令和時代、いよいよ危機感を感じたのだろう
・これで逃げ切れると思ってるなら舐めてるわ
・ジャニーズのタレントはなんて言ってるの?
・辞めジャニは告発してるのに、所属タレントは、まるで同調圧力のように黙るのが怖い
・ジャニさん話を面白おかしく言ってた奴らも罪人みたいなもんだよ
・売れてる連中は誰一人言及しないし証拠もないんだよな今のところ
・ヒガシはコメントしなきゃダメだ番組持ってるし
・中居はいいタイミングで辞めたな
・テレビ局等メディア業界が見て見ぬふりをせずにしっかりと報道していれば、被害はもっと少なくて済んだはず
・これを忖度からもみ消してきたのはマスコミ お前らは共犯だ
・手のひらを反すようにメディアによる追及が始まる可能性も
・今まで報道しない自由を行っていたメディアは、どう手のひら返しの報道をするのか注目。
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裁判沙汰になっているのに「知らなかった」という回答は気分を逆撫でするだけ。
そしてそれを偉そうに質問するマスコミの厚かましさ。
マスコミこそ知らなかったでは済まされない。
被害者が「この問題が表に出てればジャニーズ事務所に入ってなかった」と答えている。
マスコミが報じてこなかった責任は重い。
にも関わらずマスコミはジャニーズ叩きに舵を切って批判の矛先をかわそうと正義面ですっとぼけている。
この記事内でTBSはマシな方だ、みたく書かれているが、全く見当違い。
確かに民放テレビ局の中では比較的報じている方だが、それは今このタイミングだから。
海外のBBCが取り上げ、そして被害者が海外向けの特派員協会で会見した数日後のタイミングで報じても遅きに失している。
むしろTBSは批判の矛先が自らに向かう事を恐れて必死に正義面で報じてるだけ。
全てのテレビ局は等しく同罪である。