アメリカの研究者らはこのほど、「心の知能(エモーショナル・インテリジェンス)」の高い人ほどよく仕事ができるという事実を、ビジネス情報誌のなかで明らかにした。
他人の心の変化を敏感に察知し自分の感情を上手にコントロールできる人は、コミュニケーションに優れているだけでなく、状況判断や問題の対処にも高い能力を発揮するという。
したがって、仕事においてより良い成果を生むというのだ。
ヴァージニア・コモンウェルス大学のロナルド・ハンフリー教授は長年にわたって心の知能についての研究を行っている。
最近、他の専門家らと共に、ビジネス情報誌に研究の成果をまとめ報告している。
それによると、「心の知能の高い人はコミュニケーション能力が高いだけでなく、挫折感などのネガティブな感情のコントロールにも優れている。そのため常に高いパフォーマンスを維持できる」としている。また、嫉妬や怒りに駆られることもあまりないため、職場環境を健全に保つのにも貢献しているという。心の知能が特に要求されるのは、リーダーの役職に就く人物だそうだ。ある金融会社の副社長は「私は重役を担う者として、絶えずストレスに対処していなければならない。その一方で、他の社員の前ではいつも前向きな姿勢を保つようにしている」
と、自らの心がけを語っている。
矛盾した感情を上手に制御できる人こそ、リーダーとしての能力を発揮できるようだ。
ちなみに心の知能の研究が始められたのは1920年代のことだ。
コロンビア大学のエドワード・ソーンダイク博士が「社会的知性」という言葉を用いて、他人と付き合う能力について説いた。
1970年以降、ケース・ウェスタン・リザーブ大学のリチャード・ボイツィーズ博士により、仕事における心の知能ついての研究が進められるようになったという。
実際のところこの分野の歴史は浅く、定義が曖昧な部分もあるようだ。
とはいえ、心豊かに過ごすことは決して悪いことではない。
願わくば職場でも家庭でも、周りの人の感情を敏感に察知して自分の気持ちとも上手に付き合いたいものだ。
[サイエンスデイリー]
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