しかし、今年は少しその様相が違う。
毎年、恒例行事のようにネット上で頻繁に行われていた、誰それが一番だとか、いやアイツだろうという論議は影を潜め、今年はアイツだなと誰もが認めた人物がいる。
ネットで挙がる名は決まって楽しんご。
2011年の一発屋芸人といえば、彼を置いてほかにはいないというのが統一見解のようだ。
2000年代初頭から巻き起こった若手芸人のネタブーム時には、毎年数名の一発屋が現れていた。
代表的な例を挙げると、2003年には長井秀和やダンディ坂野、2004年には波田陽区や鉄拳、2005年には長州小力やコウメ太夫、2006年にはレイザーラモンHGやまちゃまちゃ、2007年にはムーディ勝山やジョイマン高木などなど。それぞれが個性的なギャグとキャラクターで、一世を風靡し、嵐のように過ぎ去っていった。
お笑いブームも下火になった2008年ころから、一発屋と呼ばれるような芸人が不作になってきた。それでも世間が一発屋芸人を求めているのか、2008年にエドはるみ、2009年に髭男爵、2010年にWコロンと彼らが絶えることはない。
今年もかろうじて楽しんごという芸人が輩出された。しかし来年も今年と同じように一発屋芸人が生まれるのかどうかは疑問が残る。
10月24日(月)から10月30日(日)までの1週間で、民放5局が地上波ゴールデンタイム(19時~22時)に放送を予定しているバラエティー番組は全部で88番組。
そのうち、吉本芸人がメインを務める番組は26。ビートたけしや所ジョージなどを含めた非吉本勢がメインの番組は28。SMAPや嵐などのジャニーズタレントがメインの番組は9つ。
その他のタレントがメインもしくはMC不在の番組は25数えられた。
これらの数字から吉本の芸人がいかに多くの番組を持っているかということが分かるが、ここで注目したいのは、メインを務めているタレントの面々。
非吉本勢でもっとも多くの番組でメインを張っているのが所ジョージの6で、ついでビートたけし、ネプチューン、くりぃむしちゅーと続く。ほかに、とんねるずや爆笑問題が番組を持っているという具合。
これらの面々をみると、ほとんどが大御所クラスだということがわかると思う。また、吉本勢でメインを務めている面々を見ても、以前であれば若手という印象の強かったタカアンドトシやブラックマヨネーズといった芸人も、すでに中堅クラスでは頭1つ抜けている。大御所クラスと肩を並べるのは時間の問題だろう。
多くのバラエティー番組が大御所クラスの芸人によって仕切られている。彼らとともに番組を盛り上げるのは中堅芸人の面々だ。そして中堅芸人の多くが、M-1などの賞レースで注目を浴びたフットボールアワーやオードリー、または「細かすぎて伝わらないモノマネ」をきっかけとした次長課長などの、いわば一発屋を回避した人々といえる。
1つ間違えれば、彼らも一発屋と呼ばれていた可能性は高いだろう。そんな中堅芸人が、今のテレビ界にはたくさんいる。彼らの隙を縫ってさらなる一発屋が出てくるのは難しいのではないか。
自身も芸人である伊集院光がラジオ番組で語ったように、一発屋とは「奇跡」のようなもの。「奇跡」とはいつ誰に起こっても不思議ではない。
しかし、その場すら与えられなければ、奇跡も何も起こりえない。大御所クラスのタレントが番組を仕切り、そこには中堅クラスの芸人が事務所問わずわんさかいる。
そんな今のテレビ事情で、ついに来年は一発屋不在の年がくるかもしれない。
[cyzo]
http://www.cyzo.com/2011/10/post_8877.html
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小島よしお
戦場カメラマンは