そんなオザケンの最新の動向を、4月7日発売の週刊女性が伝えている。
東京・世田谷文学館では、1月24日から3月31まで漫画家の岡崎京子の大規模展『戦場のガールズ・ライフ』が開催されていた。
マニアックなファンも多い岡崎京子、当日は日曜日ということもあり、各地から訪れたファンで会場は埋め尽くされた。
そんな中、3月29日の夕方に突如として行われたサプライズイベントが。
「夕方、突然アナウンスが流れたんです。"18時15分より、小沢健二さんの演奏会を開催します。館内にいるお客さまも観覧いただけます"と」(40代の女性客)
「ライブを見に来た客は300人くらいいたかと思います。10代の女の子や子ども連れの30~40代のお母さん、50代ぐらいの女性もいて年代は幅広かったです。男性客も多かったですね。立ち見がたくさん出ました」(女性客)
「オザケンは白いシャツに紺のパンツ姿でメガネをかけ、アコースティックギターを持ってステージに現れました。
1曲目は『天気読み』。この曲には《新しいフレーズが君に届いたらいい》という歌詞があるんですが、岡崎さんへの気持ちを表しているなと思って、ジーンときましたよ」(前出・女性客)
演奏スタイルはシンプルそのもの。自分でiPhoneを操作してリズムトラックを鳴らし、ギター1本で歌った。『天使たちのシーン』を披露したあと、親をテーマにした詩を朗読した。
「"親というものは選べないし、飽きたからといって代えることもできない。消費される時代だからこそ、親というものの存在をもっとよく見てみよう"という内容でした。そのあとに"岡崎さんには素敵な家族がいます。岡崎さんの家族は彼女をそっと見守っている"と静かに話しました」(前出・女性客)
このライブに、小沢は岡崎の家族を招待していた。彼女の苦闘を支える家族に、感謝の念を伝えたかったのだろう。
『それはちょっと』『春にして君を想う』『神秘的』の演奏後、もうひとつ詩を朗読している。それは友情についてだった。
「友情とは、はかり知れない魔法の力を持っている。それについて調べようとすると、ちゃんと説明されているものが見つからない。遠く離れた友達もかけがえのない存在という、そんな内容の詩でした」(前出・女性客)
『強い気持ち・強い愛』の演奏後、登場したのはその"友達"だった。東京スカパラダイスオーケストラのキーボート担当・沖祐市をステージに上げて『流星ビバップ』、サックス担当のGAMOと『ドアをノックするのは誰だ?』で共演した。
前日に小沢はスカパラの25周年ライブに参加して詩を朗読しており、同じ時代を生きた仲間の声を岡崎に届けたかったのだ。この日共演はしなかったが、ほかにも岡崎にエールを送る著名人が会場に来ていた。
「同じ渋谷系で人気のあった『オリジナル・ラブ』の田島貴男さん、94 年に『今夜はブギーバッグ』でコラボしたスチャダラパーのメンバー、いとうせいこうさんなどもいました」(前出・女性客)
同時代に小沢健二と岡崎の作品を見てきたという男性は、ライブを見て以前とは違う方向性を感じたという。
「家族や友情といった、かけがえのないものを強く意識していましたね。それを大事にしようという、オザケンと岡崎先生の"新たな道しるべ"だと思いました」
80~90年代の"TOKYOカルチャー"を牽引し、文学・思想の分野からも高く評価されていた岡崎京子。そんな絶頂期を迎えていた96 年、悲劇が襲う。
「ご主人と自宅近くを散歩中に飲酒ドライバーにはねられたんです。頭がい骨を骨折して意識不明になり、自力呼吸もできない状態でした。現在は回復しているものの療養中で執筆活動も再開できずにいます」(カルチャー誌編集者)
フリッパーズ時代からの小沢のファンだった岡崎は、「私の王子様」と公言するほどのほれ込みよう。雑誌の企画でも交流を深めるようになった2人は、お互いに影響を与え合う関係になっていったという。
「知らせを受けて岡崎さんが入院する病院に駆けつけ、家族以外は面会謝絶なところを"家族です"と言い張って病室に入ったそうです。"僕は彼女の王子様だから、どうしても行かなければ"と言って」(レコード会社関係者)
リハビリに励む岡崎に、サプライズプレゼントも用意された。それは小沢の13年ぶりの全国ツアーとなった'10年の東京公演でのこと。
初日に用意された特別席は、岡崎のためのものだったのだ。
「曲をすべて歌い終えた小沢さんが観客に挨拶していたとき、急に涙ぐんだんです。客席前方を指さして"これ言っちゃうと泣いちゃうんだけど......、岡崎京子さんが来ています"と話しました」(前出・レコード会社関係者)
今回の世田谷文学館でのライブも、岡崎に聴かせるために小沢が企画した贈り物。
「ライブの様子をDVDに録画して岡崎さんに送ろうと考えたんです。彼女と親交のある関係者だけを入れて演奏してもよかったんですが、岡崎さんを思う気持ちは展示会に来たお客さんも同じですから、一般のお客さんを入れることになったんです」(前出・レコード会社関係者)
岡崎自身も展覧会には訪れている。休館日に2度来館し、車イスで会場を回ったそうだ。彼女は現在も、懸命にリハビリを行っている。
会場の最後には、視線追跡で文字を入力する装置を使って本人が打ち込んだメッセージがあった。
《みんな、ありがとう》
[引用/参照:http://www.jprime.jp/entertainment/artist/10911/]
[引用/参照:http://www.jprime.jp/entertainment/artist/10913/]
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