嵐 デビュー当時
とくに女性誌は"ジャニーズの広報誌"状態。そんななか、「文春」ほどハードではないものの、女性誌では唯一ジャニーズスキャンダルを扱ってきたのが「週刊女性」だ。
今回の暴露本はその「週刊女性」擁する主婦と生活社から出版されたのだが、今週火曜日発売の「週女」では、さっそくデビュー直前に起きたジャニーズJr.飲酒事件が嵐の人選に大きく影響したことなどを同書から前打ちしている。
だが問題は、内容の信憑性だ。事情を知る週刊誌記者は、こう話す。
「『週女』はかなりのディープスロートを掴んだようです。著者は匿名で『元側近スタッフ一同』とされており、また内容もかなりオブラートに包んでいますが、嵐をデビュー当時から担当していた元マネージャーといわれています」
元側近が明かした、嵐の素顔──。話題性は抜群だが、この暴露本について「週女」とネットニュース以外のマスコミは完全スルー。後追いなどが報じられる気配はまったくない。だが、同書のなかでは、嵐のかなり近くにいる人間でなければ窺い知れない、意外すぎる姿が暴かれている。
たとえば、もっとも衝撃的なのは、メンバー間の"不仲"ぶりだ。嵐といえばメンバー同士の仲がいいことで有名で、ファンの間では仲良しエピソードがよく語られている。
そもそもアイドルグループにはライバル同士のメンバーが張り合ったり、多少の不仲やギスギス感がつきもの。しかし嵐は"5人とも性格が良く、メンバー全員が仲良しのグループ"というイメージがその人気を支えてきた。
......が、同書によると、実は嵐もなかなかギスギスしていたことがわかる。
その一例が、ファンの間でもなかなか絡みが見られないといわれている、二宮和也と松本潤の最年少コンビ。本書はその理由を、二宮と松本が「結成から数年は仕事以外ではろくに口もきかないほどの不仲だった」と綴っている。
というのも「裏方志向が強く、制作や演出の仕事がしたくてジャニーズを辞めることも考えていた」という二宮は、「常にガツガツとしている松本が苦手」で、逆に松本は松本で「何かにつけてゆるく見える二宮がそれでいて人気があることに、釈然としない思いを抱いていた」のだという。
それでも、不満をあからさまにしない二宮に対し、松本はイライラを隠さなかったというが、松本の苛立ちには理由がある。
当初、事務所側は派手なルックスの松本を、嵐の"キムタク"(=センター)として売り出す戦略をとっていた。
だが、デビューから2年後の2001年、大手広告代理店に依頼し大々的なマーケティング調査を行ったところ、なんと「メンバーの人気順位で松本がまさかの最下位」という衝撃の結果が判明し、松本をセンターから外すことに。
あわてふためいたスタッフは緊急に「(松本以外の)誰をキムタクにするか」会議を開くのだが、「ほかに誰かいる?」「いない」「どれも一緒」ということで、苦肉の策として「センターを固定しない」という戦略をとることにしたという。
特定のメンバーでなく嵐というグループそのものが好きという"箱推し"ファンが嵐人気を拡大させてきたことを思うと、この「センターを固定しない」という戦略は結果的に成功だったといえるだろう。
しかし、センター失格の烙印をおされた松本の心中は、当然、穏やかではない。
松本は「この決定を聞かされた途端、不機嫌な気持ちをあらわに」し、その後しばらく「仕事中、ちょっとしたことでピリピリしたり、ふてくされたり」、ときには、マネージャーに「おせーよ」「聞こえねーよ」と当たり散らすこともあったという。
そんな松本の不満をうまく聞いてあげていたのが、コミュ力が高く、松本も一目置いていた櫻井翔だったという。しかし、その櫻井も松本を不機嫌にさせる原因になってしまったことがある。
それは、04年から05年にかけて青山劇場で上演されたミュージカル『ウエストサイドストーリー』でのこと。
メインの役3人には櫻井と松本、大野智が選ばれたのだが、そのなかでも松本と櫻井のどちらを主役にするかで紛糾し、最終的に櫻井が主役となった。
さらにスタッフのあいだでは「櫻井を(嵐の)センターとして、ちょっと意識していこうか」という合意ができあがったらしい。
櫻井が選ばれたのは、ジャニーズショップやコンサートグッズの売上げがトップだったことに加え、「メリー副社長と同じように、嵐を担当するジュリー副社長も彼をお気に入りだった」からだという。
櫻井はこうした自分のポジションを十分わかっていて、他のメンバーに対して独特の優越感があった、と著者は分析する。
「センターうんぬんについてのこだわりも櫻井は希薄だ。いや"見た目のセンター"については、というべきか。彼は育ちのよさや賢さも含めた総合的な人間力には絶対的自信を持っていて、"事実上のセンター"は自分だと自然に考えているふしが見受けられた」
櫻井の絶対的自信は、ときに不人気メンバーに対する上から目線や不満となってあらわれることもあったという。
5人全員で出演していた映画の撮影現場で記念撮影をしようとしたところ、相葉雅紀と大野が見当たらず、不在に気づいたスタッフが探そうとしたそのとき、櫻井はこんなことを言い放ったのだという。
「売れてる3人、ここだから。ここで撮ろうよ」
"5人そろってこそ嵐"のはずなのに、温厚そうな櫻井が不人気メンバーはいらないと言わんばかりの発言をしていたとは驚きである。著者によると「嵐が盛り上がらないのはこの2人がイマイチだから」という、相葉と大野に対する不満が櫻井にはあったそうだ。
ちなみに櫻井が慶應ボーイというのは有名だが、実は母校愛も異常に強く、「俺は嵐でいることよりも、慶應生でいることのほうが誇りだ」とまで話していたという。
自信満々な櫻井とは対照的に、リーダーである大野は自分の不人気をかなり気にしていたという。たとえば、ソロラジオ番組の公開生放送を行ったときは、本番直前まで「眉間にしわを寄せ、心細そうな口調で」こんなことを話していたという。
「行きたくない。出たくない」「人、来なかったらどうしよう。来てても"あいつ、誰?"って声が聞こえちゃうのが怖いし。俺、怖いよ、それはちょっと......」
一見ゆるふわキャラで、人気などに頓着しなさそうな大野が、こんなふうに追い込まれていたとは。これは当時の嵐がギスギスした関係だったことと無関係ではないだろう。
......表向きは"全員仲良し"で売る嵐に隠されていた、ぎくしゃくした関係性。だが、話はこれだけで終わらない。本書では嵐のメンバーが抱いていた、同じジャニーズ事務所に所属するほかのグループに対する敵対心も明かしているのだ。
嵐のメンバーがジャニーズJr.時代から気にかけていたのは、タッキーこと滝沢秀明である。
嵐のデビュー会見で「あれ?タッキー、いなくない!?タッキーはどこ?」と報道陣から声があがったと本書にもあるが、Jr.時代の滝沢の存在はそれくらい圧倒的で、絶対的なエースだった。
そんな滝沢よりも先にデビューしてしまった嵐の5人は、滝沢に対して「優越感と気まずさとが入り交じった微妙な感情を抱くことに」なったという。
そうして、滝沢は03年、今井翼とともにタッキー&翼としてデビューを果たすが、じつは嵐の5人はJr.内の問題をいちいちジャニー喜多川社長に"報告"する今井にも苦手意識のようなものがあったらしい。
そのため、嵐はタッキー&翼を異様に意識。コンサートの楽屋でタッキー&翼のデビューアルバム『Hatachi』がBGMとして流れただけで空気がピリピリし、「これ、誰がかけてんの?」「ちょっとCDかけるのやめようよ」という空気が蔓延したという。
嵐が感じていたのは、「タキツバ、ドーンと来ちゃったらどうしよう」「俺ら、あっという間に抜かれて置いていかれるんじゃない?」という不安だった。
しかし、その不安は杞憂に終わる。嵐メンバーが予想していたほど、タッキー&翼の売れ行きは芳しくなかったからだ。このとき、櫻井はしみじみとした口調で、こう言ったという。
「俺たちって、いい時期にギリギリでデビューできてよかったよね」
一方、KAT-TUNに激しい拒否反応を示していたのが二宮だという。
二宮にとってとくに面白くなかったのが、亀梨和也。しかもその理由は「地元が近く、同じ野球少年で、女性の好みも似ているらしく、ある女性アイドルを亀梨と取り合ったりしているうちに、仲がこじれた」というファンにとっては聞き捨てならないものだった。
......このように、仲良しが持ち味である嵐の"裏側"が克明に描かれた本書。
ファンにとっては残念すぎて信じたくない話もあるかもしれないが、いずれのエピソードも時期やイベント、番組名などかなり具体的に記されており、単なる噂話や憶測でなく、かなり近いところで嵐に接していた人物が著者であることは間違いないだろう。
[引用/参照:http://lite-ra.com/2015/04/post-1033.html]
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