ともに売却に至らなかったが、これを「ただの売名行為」と見る向きは多い。
ともに売却に至らなかったが、これを「ただの売名行為」と見る向きは多い。
実際、ベイスターズの本拠地・神奈川県の松沢成文知事も「会社の宣伝さえできればいいという論理に違和感を覚える」と発言している。
ただ、身売り自体を全面否定したヤクルトに対し、TBSの方は身売り先の模索は事実だった。
これに飛びついたのが住生活グループだったわけだが、実はこの話、当の住生活内部からも買収に反対の声がある中での交渉だったことが分かった。
「2代目お坊ちゃん会長の独断先行だったんです」
こう打ち明けるのは同グループ内企業の幹部役員T氏だ。
「うちが今、一番力を入れているのが住宅リフォームで、その新ブランドとして潮田洋一郎会長が立ち上げた「LIXIL」(リクシル)のブランド力を高めるための一手だったんです」とT氏。
住生活グループは洋一郎会長の父、健次郎が設立したトステムとINAXが統合し、新日軽やサンウェーブといった住宅関連会社をM&Aで傘下に収め、年商1兆円の大企業に成長した。
T氏によると「球団が出している毎年20億円ほどの赤字は広告費として考えれば安い買い物」なのだという。
普通に考えれば、洋一郎会長の選択は悪くないはずだが、古い幹部役員たちが反発したのは健次郎氏への忠誠が強かったからだという。
「洋一郎会長は親の仕事を引き継いだだけの頼りない2代目という印象なんです。父親の健次郎さんは住宅関連企業の統合に成功しながら、それ以外のジャンルには手を出さないというのをモットーにしてきた信念の人。会社の定款にも"住生活以外の事業は行わない"と入れたほど。先代が叩き上げで成功させた姿をみんな知っているだけに、洋一郎会長の色気には反発の声がかなり上がっていました」
ただ、住生活は結局、約2カ月の間に、資産査定と本拠地の問題に首を突っ込んだだけで交渉を破談させた。
本来あるべき銀行を間に挟んだ本格交渉がなかったことに、ある球団関係者は「間違いなく売名工作だ」と憤っている。
「交渉決裂してからは洋一郎会長も"知名度が上がったから良かった"と開き直っていたそうですが、はなから父親のモットーを守った売名作戦だったなら、なかなかしたたかな2代目として見直される話」とT氏は言うが、そんなことはどうでもいいファンとすれば、この一連の騒動は、球団の価値が軽々しく見えただけの茶番劇にしか見えない。
「私が聞いた購入条件は、TBSがマルハから買ったとされる金額よりずっと下でしたよ」とT氏。
実際に球団の価値が大幅下落していることも露呈してしまった。
維持も地獄、身売りも地獄という先行き不透明な球団の状況では、ファンも素直にゲームを楽しめないだろう。
[ZAKZAK]
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