JリーグTEAM AS ONE(Jリーグ選抜)で途中出場したFW三浦知良(44)=横浜C=が後半37分にゴール。試合は日本代表に1―2で惜敗したが、不屈の闘志で東日本大震災の被災者に勇気を届けた。
カズの思いを込めた一撃がゴールネットに吸い込まれると、4万人の観衆、そして日本中が歓喜に沸いた。2点リードされた後半17分に途中出場。
同37分、DF闘莉王が競ったボールに全力で走り込んだ。DF森脇を振り切り、右足をコンパクトに合わせ、GKの手をかすめるように右隅に流し込んだ。
「(パスが)来るだろうなという感じがあった。点を取るならああいう形がベスト。
ダンス? 迷ったけど、暗くなってはいけない。ゴールもそうだけど(ダンスも)期待してくれている」。44歳のキングが被災地に勇気と感動を届けた。
パフォーマンス直後には、瞳を潤ませながら天に向けて両手をたたいた。「本当にみんなの気持ちが一つになったゴール。サッカー界全員で力を合わせ、東北の皆さんにきっと(思いが)届いたと思う」。試合後には敵味方関係なく握手をかわし健闘をたたえ合った。
敵将・ザッケローニ監督には「私はゴールを決められるのは嫌いです。しかし、ゴールを決められてうれしかったのは、私のキャリアの中で初めてです」と最大級の賛辞を言わしめた。
この日使った「チカラをひとつに」のスローガンが刻印された世界で唯一のスパイクは、今後チャリティーオークションに出される見通しだ。
カズは試合前日、プーマ社の担当者に「これをチャリティーに出せませんかね」と相談した。同担当者も「特別な一足なので被災者のために役立てていただけるなら、こんなにうれしいことはない」と同調。高額の落札が予想され、さらに被災地への“アシスト"となるはずだ。
95年の阪神・淡路大震災、04年の新潟県中越地震の後も慈善試合に出場。多くの被災者から「うれしかった」と感謝された。
「被災者の方は本当に苦しい1分1秒を過ごしている。逆に生き抜く勇気を僕らが与えてもらっている」。そんな感謝の思いから、試合前に記念撮影したTシャツには「Boa Sorte」(幸運を)と書き込んだ。
復興のためにサッカー界の力を結集させた一戦。「まだ苦しい大変な日が続くと思いますけど、日本全体、世界でこの危機を乗り越えましょう」とメッセージを送った。現地の惨状を実際に見たMF小笠原と協力し、今後東北のサッカー少年のサポートに乗り出すことも約束した。
「支援を送り続けるのが一番の役目。これからも継続的にやっていきたい」。復興への長く険しい道のりの先頭に立ち、カズが日本中に夢を与え続ける。[スポーツ報知]
□カズ「プロパガンダになるのは嫌なんだ」
誰よりも強いプロ意識を持つ。カズは未曽有の大惨事を目の当たりにし、誰よりも真剣に今、何をすべきか考えている。
95年の阪神大震災のときもそうだった。
数多くの著名人が義援金を送っているが、カズの名前は出てこない。いや、出していないのだ。
「公表している人を否定するつもりはない。でも、僕は支援活動がプロパガンダになるのは嫌なんだ」。
今、考えているのは被災地が落ち着けば、実際に東北まで足を運びサッカー教室を開くこと。
「今は何かをすべきタイミングではないのかも。でもいつまでも、何もしないわけにはいかない。言える立場ではないかもしれないけど、僕らは生きていかなくてはならないんだ」。カズの支援活動は終わらない。[Sponichi Annex]
□小笠原「サッカー見てるよ」の言葉胸に
震災発生後、丸1日かけて車を運転、高校時代を過ごした大船渡市などを訪れた。
「以前見たものがなくなり、知らない所へ来たのではないかと思った」。被災者をどう励まそうか悩んだが、「いつも見ているよ」「頑張ってね」と次々と声を掛けられた。
「何かしたくて行ったが逆に励まされた。サッカーも力になれることの一つだと思った」。当初、断るつもりだった慈善試合の出場へ、被災者の声に後押しされた。
試合前の整列では「東北人魂」と書いたシャツを着た。
しかし、十分な練習ができずに臨んだ試合では動きが重く、先発したが前半のみで退いた。プレー中、歯を食いしばって頑張っていた被災者の姿が頭に浮かんだ。
「ミスばかりでふがいなかった。でも周りが助けてくれた。被災地も、サッカーも助け合いなんだ。そんなことを考えた。助け合えば必ず復興できる」。普段は寡黙な小笠原が必死に訴える。その思いは、被災地に届いたはずだ。[毎日jp]
「いろいろな意見があったと思いますが、試合をやって良かったと思います。多くの人に集まってもらって何か感じてもらえたんじゃないかな、と。
試合中は被災地で頑張っている方々のことばかりが頭に浮かびました。個人的にはミスが多かったけど、チームメートが助けてくれた。被災地の皆さんも助け合って生活していますが、サッカーも助け合いだと、あらためて実感しました。
最初にJリーグ選抜としてチャリティーマッチに出場するという話をいただいた時には辞退も考えました。家を失った方や身内を亡くした方もたくさんいる中で、サッカーをしている状況ではないと思ったから。
でも被災地の方々から「いつもサッカー見てるよ」と言葉を掛けてもらい、気持ちが変わりました。サッカーも被災地の力になれることの一つと思い出場を決意しました。
震災発生後の17日から23日まで、高校時代を過ごした大船渡市と妻の実家のある陸前高田市に行きました。
鹿島のスタッフには「余震も続いているし、援助や救助の邪魔になるからやめておけ」と止められたけど、行動を起こさなければ絶対に後悔すると思ったから。
実際に現地に足を運ぶと、何もかも無くなっていて初めて行った場所のようで言葉が出ませんでした。何か力になりたくて避難所を訪問しましたが、1人では何もできず、逆に復興にかかわる全ての人が一生懸命に頑張っている姿に励まされました。
何か必要な物はあるかと聞いても「自分は大丈夫だから、もっと困っている人に必要な物を送ってあげて」という人がたくさんいて本当に頭の下がる思いでした。」[Sponichi Annex]
□ピクシー本気で試合に出るつもりだった
今回のチャリティーマッチでは「ザックvsピクシー」の指揮官対決も注目された。そのワケは、1年ごとに日本協会と契約を見直すことになっているザッケローニ監督に“まさか"の事態が起きれば、ストイコビッチ監督がポスト・ザックの一番手になるからだ。
2人には浅からぬ「縁」がある。
2007年、ストイコビッチ監督が旧ユーゴのレッドスター・ベオグラード会長時代のこと。最終的に契約には至っていないが、当時無職だったザッケローニ監督に「ぜひ、うちに来てほしい」と直接オファーを出していたのだ。
そんな2人がともに「勝つ」と宣言して臨んだ一戦だが、実情はストイコビッチ監督のハンデが大きすぎた。
アジア杯優勝などでチームの柱ができているザッケローニ監督に対し、ストイコビッチ監督は試合前日、わずか1時間の練習しかできなかった。
それだけに「カズと私の2トップもいいだろ」とリップサービスも。
これには、あるJリーグ選抜の選手が「ピクシーは本気で試合に出るつもりだった。でも前半あまりにも代表の出来が良かったので諦めてしまった」と仰天エピソードを明かす。
ストイコビッチ監督は「原発事故」の懸念から16日に帰国。
22日に再来日した際には、母国・セルビアの首都で内戦で苦しんだベオグラード市民から「必ずこれを日本国民のみなさまに渡してほしい」と被災者へ向けたメッセージ入りの日の丸を預って帰って来た。
ザッケローニ監督は「海外組の視察を優先したい」と30日に再びイタリアに帰国するが、チャリティーマッチの舞台裏での存在感は、ピクシーに軍配だ。[ZAKZAK]
□完成度高かったザックの「3-4-3」
まるで試行品とは思えない完成度だった。
ザック監督がイタリアで一時代を築いた「3-4-3」。前半45分間、内田(シャルケ)と長友(インテル)の上下動からスピード感のあるプレー、突破が繰り返された。両翼の立ち位置が1列上がり、サイドからの攻撃が明らかに鋭く、確かにエネルギーを増していた。
第2段階へ突入ののろし。
「3日間(の練習)でこれだけできるのは簡単ではない。期待以上の出来だった」。ザック監督は選択肢のひとつと強調しながらも、最後にこう加えた。「非常に難しいが、日本人はこのシステムに合っている」
披露された新システムはウディネーゼ、ミラン時代のプロトタイプからは大きく変ぼうしていた。守備の要、DF今野は「監督の考えをすべて理解できてはいない。求められるものは高い」。
横幅68メートルにDF3枚がフラットに並ぶ。攻守でポジショニングの緻密(ちみつ)さが求められ、必然的に負うべき責務も増加。
ただ、最終ラインでリスクを冒すから、攻撃に打って出た時に得る実は大きい。危険を承知で、「できる」と踏んだ指揮官の勝負手だった。
試合前日、ザック監督はこう言った。「面白い試合を見せられると思う」。その言葉をひもとけば、個々の高品質なプレーだけでなく、世界でもお目にかかれない斬新なサッカーをチームで表現する、挑戦するという気概ではなかっただろうか。
選手にはこう告げて、送り出したという。「誇りに思わなければならない。こんなに素晴らしい国の代表としてプレーできるのだから」。イタリアの名将ならではの、「ニッポン復興」への願いがサッカーに込められている。そう感じた長居の夜だった。[中日スポーツ]
岡崎選手のゴールで、日本代表が2点リード。ゴール直後、決定的なラストパスを出した本田圭佑選手がカメラに見せた強いまなざし。僕には、「だいじょうぶ。俺たちがついてる」という被災地へのメッセージに見えた。[@h_ototake]
張本が八百長扱いしてたな
逝ってよし......
カズはプロのプロ