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サッカー界の"チャラ男"男泣き

ロンドン五輪の男子サッカーで、日本代表に2004年のアテネ大会以来の勝利をもたらしたFW大津祐樹(22)=ボルシアMG。茶髪をなびかせ、その容姿から"チャラ男"と呼ばれてきたが、素顔は意外なほど真面目だ。ルックスとは裏腹に、真摯(しんし)なまでにサッカーに取り組んできた姿勢が、スペイン戦という大舞台で花開いた。

大津祐樹
大津祐樹

■会心の一撃

ゴールを狙う嗅覚と運は、本番でさらに研ぎ澄まされていた。

前半34分、MF扇原貴宏(C大阪)の放った右CKは、ゴール前中央で陣取っていたチーム最長身のDF吉田麻也(VVV)の頭上を越え、チャンスを逸したかに思われた。しかし、相手DFを振り切って倒れ込みながら走り込んできたのは大津。会心の一撃に「日本のみんな、出られなかったメンバーのためにも勝ちたかった。気を引き締めて、メダルを取りにいきたい。気持ちのいいゴールでした」と胸を張った。

ロンドンオリンピック大津祐樹・決勝ゴール ロンドン五輪、サッカー男子

■貫いた茶髪

石崎信弘先輩はもちろん、監督相手にも物おじしない態度に、トレードマークは風になびく茶髪。2008年、柏に入団し初練習に姿をみせたときのことだ。当時の石崎信弘監督(54)=現J1札幌=は、当然のように雷を落とした。しかし、大津は「ダメっす。これは地毛なんで、無理っす」と言い返して周囲を困惑させた。「チャラ男」のあだ名は、そこで誕生した。

しかし、本人いわく「そんなにチャラチャラしていないです」という。

茨城県出身の大津は、小学3年で鹿島の下部組織のジュニアチームに入ってサッカーを始めた。高校進学とともに、ユースチームへの昇格を希望したが「君では無理」と断られた。初めて味わう挫折だった。

心機一転、東京・成立学園では"打倒ユース"を胸に秘め厳しい練習で自らを鍛え上げた。高校3年で初めて鹿島ユースを破ると、同校卒業後には「初めてオファーしてくれたクラブだから」と柏に入団。

しかし、今度は故障続きと"実力不足"という低評価を受ける。そこで「海外に出るしかない」と決意。昨季、ドイツの名門・ボルシアMGからのオファーを受けると「本当ですか?信じられません」と感激で目を潤ませたという。

不遇をかこってきたが、日本ではあまり取り組まなかったウエートトレーニングを週3回取り入れ、4カ月かけて2キロの筋肉をつけた。体を強くすることで、ようやくドイツ・ブンデスリーガでのデビューを飾った。

■実力の勝利

スペイン戦では、ゴールを決める前に左足首を踏まれて痛めていた。大事をとって後半はベンチに下がったが、終了のホイッスルが鳴ると人目もはばからずに男泣きした。

大津祐樹

「自分が出られない中で、みんなが一生懸命戦っている姿を見てちょっとウルッときた。ちょっとじゃないっすよね」と苦笑いした。

優勝候補撃破にも「実力で勝った」と強気で言い放った大津。

「うれしいときはうれしいし、悲しいときは悲しい。泣きたいときは泣けばいい。それもひとつの感情。その代わり、切り替えてやることが大事。よりきれいな色のメダルをとるんです。スペインに勝って浮かれてはいられない」

大津祐樹

そこには"チャラい"男の姿などなかった。

[zakzak]
http://www.zakzak.co.jp/sports/soccer/news/20120727/soc1207271142002-n1.htm

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