なぜ、素直に謝れないのか。

プロ野球で使用されている統一球を、昨年と比べて飛ぶように調整していたにもかかわらず、公表していなかった問題で、日本野球機構(NPB)の加藤良三コミッショナーは12日、記者会見を開き、「事実を隠蔽する意図はなかったが、混乱を招いたことはおわびしたい。昨日までまったく知りませんでした。不祥事ではないと思う。もし私がその事実を知っていれば、公表していた」と話した。


加藤良三コミッショナー

その一方で、NPBの下田邦夫事務局長は11日に、「昨年の夏にボールの変更をコミッショナーに相談して決めた」と記者団に漏らしている。

真相は本人たちのみぞ知る形だが、会見で加藤コミッショナーは「不祥事ではない」と繰り返し述べ、辞任を否定した。

だが、不祥事かどうかは、他人が決めることだ。

そして、世間は不祥事だと思っているにもかかわらず、当該人物が「不祥事ではない」を強調することで、余計に不祥事という印象が強まってしまうという事実を覚えた方がいいのではないだろうか。


謝罪の意を感じられない弁明

小さい頃、「ウソは付いちゃダメでしょ!」と誰もが一度は言われたことがあるだろう。

しかし、大人の階段を上るに連れ、「バレなきゃいい」という間違った考え方をどこかで覚えてしまった。その象徴が、今回のNPBのボール差し替え隠蔽問題であり、「おわび」という言葉を使っているものの、どこか謝罪の意を感じられない加藤コミッショナーの弁明なのである。

素直に「ごめんなさい(=I'm sorry)」と言えば、世間の反応も違ったものになったはずだ。「ごめんなさい(=I'm sorry)」と詫びたものの、『素直に』の部分が欠けていたのだ。

余計な言い訳をすると、墓穴を掘るだけであり、ますます評判が悪くなる。ファンはシーズンに集中したいため、このような不祥事は早く過ぎ去ってほしいという潜在意識がある。まして、日本には良くも悪くも『水に流す』という文化がある。

だからこそ、加藤コミッショナーが「素直にI'm sorry」していれば、事態は収まる方向で進んだはずなのだ。それなのに、世間が騒ぎ過ぎだと言わんばかりに「不祥事ではないと思う」と言い、「もし私がその事実を知っていれば、公表していた」と自己弁護に走った。最高責任者であるコミッショナーが「知らなかった」のであれば、それはもう十分過ぎる不祥事である。

加藤コミッショナーはもう一度、会見を開き、「素直にI'm sorry」することが求められる。

[リアルライブ]
http://npn.co.jp/article/detail/98285355/

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