「かつて『檀ふみ』と書いた中日時代の田尾安志は、年末の歌番組で共演した時に、"ありがとう"といわれて話がはずんだそうです」(ベテラン記者)
ただ最近は、有名選手になればなるほど固有名詞を挙げなくなるようだ。
日本ハム・大谷翔平が「明るくて爽やかな人」と書けば、阪神・藤浪晋太郎は「一緒にいて落ち着く人」などとうまく逃げる。中には日本ハム・斎藤佑樹の「キャッチャーみたいな人」という珍回答もあったが......。
大谷翔平|藤浪晋太郎|斎藤佑樹
「(「好きな女性欄」では離婚した同僚選手の元妻の名前を答えるなど)イタズラ好きの元広島・阪神でプレーした金本知憲氏の影響か、女性欄に特徴があったのは、かつての広島ですね。森笠繁は『藤崎詩織(ときメモ)』と書いて、ファンに衝撃を与えた。
ときメモとは1990年代に大ヒットした恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』のことで、藤崎詩織はメインヒロインの名前。これをきっかけに、"ときめきメ森笠"という愛称が生まれました。
また、新井貴浩も『山田花子』と書いて話題になったことがある」
ちなみに広島は「愛車欄」でも異彩を放つ。他球団の選手たちが高級車を挙げる中、広島の選手たちは多くが空欄。きっと親会社のマツダを意識してのことなのだろう。
ただ、なぜか野村謙二郎監督が「レクサス」と堂々と書いていたのは、首脳陣は別ということなのだろうか......。
[ポストセブン]
http://www.news-postseven.com/archives/20140307_244088.html
■新聞系は個人情報、出版社系は寸評に強い
書店のスポーツコーナーには、現在、プロ野球の選手名鑑が所狭しと並べられている。都内の某書店で数えてみると、A4判が4種、B5判が3種、他にポケット判が6種、計13種類が陳列されていた。
この中で、ベースボール・マガジン社、日刊スポーツ出版社、毎日新聞社(スポニチ)、宝島社、廣済堂出版のものが「5大名鑑」といわれる。昨年は、ベースボール、日刊、宝島3社のポケット判が、実売シェアの5割を占めた。
でも、どれも似たり寄ったりの内容なのだろう──そう考えたあなたは甘い。他社との差別化を図るべく、各社、知恵を絞って特徴を出しているのだ。
最近のトレンドは、各種データをいかに分かりやすく見せるか。例えばベースボール・マガジン社版では、投手の球種と割合や、球種別三振、空振り、被安打の%まで掲載。野手では打球方向や"カモと苦手"投手にまで情報網を広げている。
日刊スポーツ版では、MLBで主流であるセイバーメトリクスの指標を提示。投手は、アウトの内訳から左右打者での被打率、奪三振率などを算出。野手では、安打の傾向からカウント別打率、左右投手からの得点圏打率までを網羅している。
また、日本スポーツ企画出版と宝島社の名鑑では、選手個々の過去5年間にわたる年俸額を掲載。
スポニチ版は、球団広報やスカウトなど"裏方"の名前まで明記しているので、「スポーツ新聞記者の必携書になっている」(スポーツ紙記者)という。出版関係者が語る。
「新聞系名鑑は、選手の血液型や愛車などの個人情報に強い。これは日頃から各社の記者が選手と接しているためです。
一方の出版社系は、選手の人となりを示す"寸評"が面白い。新聞系は記者と選手の関係で綺麗事しか書けないが、出版社系はしがらみがないので自由に書けるからです」その寸評で特に人気が高いのは、前出の日本スポーツ企画出版刊、雑誌『Slugger』特別編集の名鑑だ。一部を抜粋しよう。
●三浦大輔(横浜)
自慢の髪を整えるためロッカーにムースとスプレーを常備。頻繁に更新されるブログの写真はいつも右端に写りこむ。
●角中勝也(ロッテ)
契約更改では独立リーグ出身者では初の5000万円に到達。それでも、今も昔も主食は牛丼。
●ルナ(中日)
故郷ドミニカ共和国に球場約6個分の広さを誇る牧場を所有し、牛・ヤギ・馬を飼育している。趣味は闘鶏で料理も得意。
●橋本到(巨人)
ファームにいた頃に書いた作文は球団幹部から「文章がうまい」と評判。中学時代に弁論コンクールに出たことも。
●岡島豪郎(楽天)
愛用するシロクマの抱き枕"ジェシカ"はそのまま愛称として定着した。
ファンを唸らせる「取材力」だ。[ポストセブン]
http://www.news-postseven.com/archives/20140304_243993.html
■目立つためイチローは趣味「熱帯魚」と書いた
名鑑は当の選手たちも楽しみにしているという。広島・阪神でプレーした金本知憲氏もその1人だった。
「若い頃、熟読していましたよ。年俸を見て、コイツこんなに貰っとるんかい、とライバル心を燃やしていましたね」
金本氏によれば、選手が名鑑で注目するのは年俸のほか、「趣味欄」と「好きな女性欄」なのだという。
「この欄で遊ぶんです。僕は趣味欄にやったこともない『昆虫採集』と書いたことがあるし、好きな女性欄には、離婚した同僚・西山秀二さんの元妻の名前を書いたこともありました。
後者は翌年、新井(貴浩)が真似してスベっていましたね。趣味は『新井いじり』と書いとけばよかったかな」
「あのイチローもかつて『熱帯魚』と書いたことがあります。これは本人が、"ドラフト4位で目立たないから、変わったことを書いてアピールしたい"という思いからでした」(ベテラン記者)
趣味欄がない名鑑もあるが、これは「昔は野球選手の趣味というと、パチンコや麻雀、競馬が定番。これでは子供に夢を与えられないというので項目から外した」(出版関係者)という事情があるという。[ポストセブン]
http://www.news-postseven.com/archives/20140304_244016.html
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