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広島ファンを泣かせた黒田復帰も・・・想像以上に難しい挑戦になるワケ

ヤンキースの引き留めを蹴って広島に戻ってきたということで、黒田博樹のフィーバーがすさまじい。キャッチフレーズの「男気」は今年の流行語に当確の勢いである。

黒田が広島入団を正式に発表したのは2015年2月16日のこと。キャンプも後半のことだった。

「広島で(投手としての)最後の1球を投げたい」このセリフは広島ファンを、野球ファンを泣かせた。

ヤンキースの年俸20億円を捨て、4億円の古巣に帰ってきたこともあって、マスメディアはサムライ黒田を大々的に取り上げた。

広島復帰 サムライ黒田

帰国するまでに米国で自主トレーニングを行っており、体力作りとピッチングの試運転もしてきたという。大リーグでプレーしてきただけに、自分のメニューによる調整は抜かりがないと見る。

キャンプ地に入ると、その日にグラウンドに行き、身体を動かした。チームに合流すると、すぐブルペンに入った。大リーグ流の練習方法を見せた。近い将来、大リーグ行きを考えているエースの前田健太にとっては最高の見本だっただろう。

「(大リーグ生活は)苦しかった。挑戦したからには、それなりの結果を出さなければ、と自分にプレッシャーをかけた」

ヤンキースで「18」の背番号を付けた黒田を、日本のファンは頼もしくテレビで見ていたけれども、本人は緊張の日々だったわけである。

先発投手が次々と故障者リストに入る投手陣崩壊の中で、黒田はひとりローテーションを守って投げ抜いた。ニューヨークのファンから「黒田、ナンバーワン」と評価された。

黒田が広島復帰を決断したのは昨年暮れのことだった。代理人がヤンキースと交渉を続けている時期である。広島のフロントとの人間関係から戻ることを決めたという。

「広島に戻れるのは今しかない、と決断した。広島という小さな街で私を待っているファンがいるということも大きな理由だった」

当然、広島はエース格としての活躍を見込んでいるだろう。

「ローテ-ションに入って投げるのなら2ケタは勝ちたい」

40歳の年齢を考えたとき、登板間隔を大リーグの中4日から伸ばすことができるので、ローテーションに入れば30試合登板と予測して10勝は可能性がある。

黒田は現在、日米通算182勝。日本で11シーズン103勝、大リーグのドジャースとヤンキースで79勝。

いわゆる200勝を挙げると名球会の会員になれる。名球会入りはともかく、一流投手の証でもあるその数字はぜひ達成したいところである。残り18勝。2シーズンを要することは間違いない。

ここで現実を予想すると、大リーグのピッチングがそのまま通じるとは思えない。第一に日本の打者は初球から簡単にバットを振ってこないし、ボール球にまず手を出さない。この点は日米のもっとも異なる点で、従って投球数が増えることにつながる。

おそらく5、6回で100球は投げることが多くなるだろう。黒田は落ちるボールで打たせて取るスタイルになっているからコントロールと駆け引きを駆使することになり、この点では味のあるピッチングが見られるはずである。

今年のプロ野球の特徴は、大リーグから帰ってきた投手が大きな話題になっていることである。黒田の前にはソフトバンクに入った松坂大輔がいる。話題では常に一番だった巨人がすっかりかすんでしまった。

黒田の登板は観客増員に結び付く。開幕投手もありうる。カープ女子が黒田おじさんを応援するのも話題になるだろう。

[引用/参照:http://www.j-cast.com/2015/02/23228321.html?p=all]

□ 円陣の真ん中でチームメイトに語った言葉とは?

「40歳になり、先は長くないですけど、覚悟を持って皆さんと一緒に戦っていきます」

キャンプ参加初日の練習前、グラウンドで組まれた円陣の真ん中でチームメイトにこう語りかけた。

「この仲間と戦い、チームの力となりたいと円陣で思った。全身全霊を傾けて投げたい」

ただ、もう中4日でマウンドに立つことはない。信じられないような高額契約の責任を背負って投げる重圧からも解放された。

ヤンキーズ時代の重圧から解放 黒田

「これが最後」と覚悟を決める外的要因はことごとくなくなったのである。そこでどういうモチベーションで黒田は、自分を追い込んでマウンドに立ち続けるのだろうか。

「2桁勝てなければ区切りをつけなければいけない」

こう語った結果を残すために、必要なのは自分で自分を追い込む、まさに自らとの戦いしかないのである。

あえて日本流ではなく、メジャー流のキャンプを貫くのも、今までの切迫感を身体に呼び起こすためなのかもしれない。

そしてシーズンに入っても自分で自分を律してストイックにマウンドに立つのだろうが、それは想像以上に難しい挑戦となるかもしれない。

黒田ならそれを見せてくれる。そんな気もする。ただ、この新しい舞台には「愛」という言葉だけでは計りきれない、厳しい戦いが待っているのである。

そのことを一番知っているのは、黒田本人なのだろう。

[引用/参照:http://number.bunshun.jp/articles/-/822743?page=3]

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