パ・リーグで、熾烈な本塁打争いをしているのが、おかわり君こと中村剛也(31)と、中田翔(26)の2人だ。おかわり君は、交流戦で7本塁打の量産モード。
同じく西武の浅村栄斗(25)も打率.326、7本、41打点と好調。中日の平田良介(27)も、今季は、打率.320、5本、20打点と、打撃10傑の上位を維持している。
彼らは、揃いも揃って大阪桐蔭のOBである。しかも、全員が全員、長打の打てるスラッガーときている。
6日の横浜DeNA戦では、西武の大阪桐蔭トリオが、本塁打競演をして大きな話題になった。現在、故障で戦列を離れているが、阪神の西岡剛(30)もいる。なぜ、こうも、大阪桐蔭OBは、プロで活躍するのだろうか?
当事者の一人、日ハムの中田翔に聞くと、「みんなに共通しているのはスイングの凄さ。バットを強く振れるということでしょう」という。
おかわり君は、甲子園出場経験はなかったが、大阪府予選では6本塁打を記録して、「ナニワのカブレラ」との異名で呼ばれた。
通算83本で、2001年のドラフトで西武に2位指名された。中田翔は、その6年後輩。1年の夏から甲子園出場を果たしてベスト4。通算87本塁打、甲子園でも4本塁打を放ち2007年のドラフトでは4球団が競合した。
中田が高校時代には、届け出をして生徒と接触さえしなければ、プロが母校で練習をすることが解禁になっていて、おかわり君は、オフに母校で練習する機会があった。
遠目に見学していた中田は、そのときプロのバットスイングの速さに驚き、もっともっと振り込むことを自らに科した。夜中の2時までバットスイングをしていたこともあったという。
1年のときの3年には平田がいて、彼もまた甲子園で1試合3本塁打、通算70本塁打を記録していた。身近な人が先にプロへ進んだ刺激もあったのだろう。
1年先輩にあたる阪神の藤浪晋太郎(20)とバッテリーを組み甲子園での春夏制覇を果たしている森は、2013年のドラフト1位。
森は中田の6年後輩になるが、フルスイング、そして練習で振り込む姿勢は、伝承されていったようである。そういえば、以前、大阪桐蔭の西谷監督も、「プロで成功している選手が多いのは、いろんな意味での伝承にあるのではないか」というような話をされていた。
森に関して言えば、中田と同期の岡田雅利(25)が大阪ガスを経て、一緒に入団するなどチームに先輩も同期入団の先輩もいることで、大阪桐蔭の輪がチームとプロの世界に溶け込みやすい環境を作ってくれているのも間違いない。
一人大物のOBがプロで結果を出すと、プラスの連鎖が生まれていくのも確かだ。
《中略》
おかわり君の時代から、西谷監督は、怪物と呼ばれる逸材を、決して何かの型にはめようとすることはなく、自分で考え、自分からやるように仕向けていた。
大阪桐蔭OBに共通するフルスイングの原点には、強靭な肉体と、バットを振り込む努力、そして自分で考える力が、どうも大きな影響を与えていそうである。
[引用/参照:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150608-00000001-wordleafs-base]
□ ある球団のスカウトは「素質があるのはもちろんですけど、(大阪桐蔭の)先を見越した指導は見事」と言い、こう続けた。
「たとえば、森友哉。彼は入学時からバッティングはケタ違いにすごかったそうなんです。ただ左投手に対して少し苦手意識があった。そこで大阪桐蔭の西谷浩一監督が森に『プロに行きたいんか?』と聞くと、『はい』と即答した。
すると西谷監督は『巨人の阿部(慎之助)は毎試合、終盤になったら左の変則投手を相手にせなあかんのや。ということは、そこで打てなかったら絶対に一流にはなれんということや』と言ったそうなんです。
翌日から森はバッティング練習で左投手ばかり打つようになり、瞬(またた)く間に弱点を克服した。常に高いレベルに目線を向けさせることで、選手たちは現状に満足せず練習に励む。野球に取り組む姿勢ができあがっています」
また別のスカウトは、大阪桐蔭OBの特長として「積極性」を挙げた。なかでも打者は、ファーストストライクから積極的に打ちにいく姿勢が染み付いているという。
どんな打者でも追い込まれると打率は極端に落ちるが、それをわかっていながらも初球から振れる打者は意外と少ない。だが、浅村や森を筆頭に、大阪桐蔭出身の選手は初球からでも迷いなく振っていける。
こうした積極的なバッティングを可能にしているのが、大阪桐蔭の練習メニューだ。
大阪桐蔭OBが「あの練習が役に立っている」と口を揃えるのが、"1本バッティング"。これは毎日行なわれている練習メニューのひとつで、カウント1ボール、2ストライクと投手有利に設定してバッティングをするというもの。
西谷監督はこの練習の狙いを次のように語る。
「バッターは追い込まれた状況からのスタートとなり、おまけにバッテリーの配球も組み立てもわからない。まさに一発勝負なんです。そこで結果を出すには、思い切り、割り切り、集中力、さらに粘り強さも必要になってきます。だから試合で打席に立った時は、楽な気持ちで勝負できるんじゃないでしょうか」
《中略》
大阪桐蔭の野球は基本に忠実で、走塁や守備などでは徹底した細かさを要求されるが、その一方で『とにかく打ってまえ!』という豪快なノリも併せ持つ。そんな話を、前出のスカウトに向けると、こんな答えが返ってきた。
「そのあたりの豪快さは、パ・リーグの野球に合う気がします。あれだけ思い切り振るスタイルは、パ・リーグに脈々と受け継がれている強打者のイメージと重なります。才能があるだけでなく、それを発揮できる環境があったということではないでしょうか」
はたして、大阪桐蔭勢の勢いはどこまで続くのだろうか。ジャパンの4番はもちろん、クリーンアップ独占だって現実味のない話ではない。いずれにしても、大阪桐蔭勢がジャパンを牽引することは間違いなさそうだ。
[引用/参照:http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/2015/06/11/post_569/]
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