日本が誇る名優の突然の訃報に、編集部も騒然となった。「週刊大衆」では2012年9月10日号で掲載した『共演者たちが一瞬で惚れる高倉健「ホンモノ男力」エピソード集』という記事を、今回再掲載する。
改めて、高倉健さんのご冥福をお祈りします。
□ 降旗康男監督の『あなたへ』(東宝)で、昭和最後の映画スター"高倉健(81)スクリーンに戻ってきた。
私生活を一切公開しない健さんのこと。かつて、"死亡説"が流れたこともあり、長い長いブランクを経てのカムバックだけに、公開前から話題沸騰。
『SmaSTATION!!』(以下=スマステ、テレビ朝日系)では映画公開を祝して健さんの特集が組まれ、あのビートたけしが、こんな"高倉健伝説"を明かした。
〈雪の中でね、深夜に着いたのかな。雪がワーワー降ってて、ドア開いたらね。20年前だけど、花束を持って健さんが立ってたの。驚いちゃってさ。「高倉です」とかいって「今回はありがとうございました」って花(束)もらっちゃって......〉
たけしが健さんと初共演した映画『夜叉』(85年)の撮影現場のこと。現地入りした、たけしを出迎えたときのエピソードだ。
映画界の至宝といえる男に、雪の中、わざわざ出迎えられたのだから、さすがのビートたけしも大感激。以来、この2人は互いに"健さん""たけちゃん"と呼び合う仲になった。
「27年前に続いて、2回目の共演となった『あなたへ』のロケ現場でも、健さんは"たけちゃんが来るのが待ち遠しい......"といって、高山駅(岐阜県)まで迎えに行っていました」(映画関係者)
この映画で初共演したSMAPの草なぎ剛も、健さんの"男力"の虜になった一人。草なぎが『スマステ』で、「一緒に朝食を食べたんですけど、緊張して、もう何を食べているか、わからなかったです」と、健さんについて語っているとき、ご本人が登場。
これは、草なぎには内緒の"サプライズ"。しかも、健さんが生放送番組に出演するのは、初めてだった。
「健さんは"東宝が(映画の宣伝のために)仕掛けたこと"なんていっていましたが、それは照れ隠し。実際には、『あなたへ』で初共演した草なぎを驚かすため、健さん自身が望んだことだったんですよ」(前出・映画関係者)
番組で香取が、「(もしかして)僕らがいるから来てくれました?」と質問し、健さんが、「ちょっとあるね」と、ニヒルな笑みを浮かべた瞬間、草なぎは、ハートを鷲掴みにされたらしく、収録後、「いまもまだ放心状態です」というコメントを残している。
一瞬にして男を惚れ込ませるのだから、女性はなおさら。
同映画で初共演した女優の綾瀬はるかは、ロケ地となった長崎県平戸での凱旋舞台あいさつで、「ホテルの部屋に帰ると、(健さんから)手紙とフルーツの盛り合わせが......」というエピソードを披露。
まさか健さんからの差し入れとは思わず、初めはホテルの料理長からだとばかり思っていたという。
こうして、共演者をメロメロにする健さんの"男力"の秘密は、どこにあるのか。芸能リポーターの川内天子さんがいう。
「まぎれもなく映画界の大御所の一人なのに、誰に対しても礼儀正しく、真摯な態度で接するところが魅力だと思いますね。握手するときにも、必ず両手で相手の手を包み込むのが健さんのやり方。健さんにそんな態度で接されたら、誰だって感激してしまいますよ」
さらに続けて、
「健さんという人は、気持ちの通じ合った共演者に、高級ブランドの腕時計を、高倉健という名前を彫ってプレゼントするんです。記憶に残るだけでも、たけしさんや千葉真一さん、田中邦衛さんらがプレゼントされています」
しかも、健さんの気配りは「照明さんや小道具さんまで、スタッフ全員に行き渡っています」(川内氏)という。
ある撮影現場でのこと。スタッフの一人に「妻が大ファンで......」といわれた健さんは、彼の家を訪問。ドアを開けたスタッフの妻に「高倉です」。
さらに、"男力"に満ちた伝説には事欠かない。
酒を嗜まず、コーヒーが大好きな健さん。
「京都での撮影中、よく四条河原町近くのコーヒースタンドに通っていたそうです。カウンターだけの小さな店で、健さんはフラッと来てフラッと帰る。そのサマがカッコいいんですよ」(夕刊紙記者)
芸能評論家の金沢誠氏は、「彼と共演して、映画スターとしての生き様を学んだ俳優や女優は多いんです。薬師丸ひろ子もその一人。アイドル時代に『野性の証明』(78年)で高倉健と共演し、彼の背中を見ながら、いろいろ学んだようです」
かの松田優作(故人)も健さんを尊敬していた一人。
美由紀夫人が、ハリウッド映画の『ブラック・レイン』(89年)で優作が健さんと共演したときの秘話を、前出の『スマステ』で明かしている。
「(健さんの)オフショットの写真をよく優作が撮っていて。優作が人の写真を撮るということは、いままでに(そのとき)一度しかなかったですね」
また、同じく共演者のハリウッドスター、マイケル・ダグラスが大阪ロケ中、日本のファンがみんな健さんを尊敬の眼差しで見つめる光景を見て、「アメリカで、あんなに尊敬されるのはブルース・スプリングスティーン(歌手)だけだよ」と、感嘆の声を洩らしたという話は有名だ。
さらに、中国の有名な映画監督・張芸謀(チャンイーモウ)が日中合作映画『単騎、千里を走る。』で、休憩の際にも健さんがスタッフに遠慮して立ち続けていた姿を見て、「中国では、彼のような俳優は一人もいない」と、尊敬の念をますます強めたという。
「健さんには寡黙なイメージがありますが、実際には意外におしゃべりで、お笑いが大好き。その関係でナインティナインの岡村隆史や志村けんさんとも交流があるんです」(前出・川内氏)
岡村は『あなたへ』で健さんと初共演。
映画は、高倉扮する元刑務所の指導技官が日本全国を旅しながら、亡き妻との夫婦愛を確認するという内容だが、「岡村の役は、阪神ファンの男。大阪ということで健さん自身が岡村を指名したんです。撮影の前夜は、NGを出したらと思い、緊張して眠れなかったというほど......」(芸能記者)
志村も、健さんの指名で『鉄道員(ぽっぽや)』(99年)に出演したクチだ。
「健さんは志村のコントが大好きで、よく志村のモノマネをしているそうなんですよ。それで今回、健さんのたっての願いで、わざわざ原作にない志村の役を作り、キャスティングしたそうです」(前同)
その話を聞いて志村は「もう夢のような話」というコメントを残している。
しかも、撮影の前日、志村が楽屋に戻ったら、留守番電話に「弟子入り志願の高倉健です。明日は気をつけて(ロケ地へ)お越しください」などという健さんの肉声が入っていたという。
男も女も惚れ込む高倉健の"男力"は、まさにホンモノ。
[引用/参照:週刊大衆2012年9月10日号]
http://taishu.jp/12305.php
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健さんを悪く言う人いないよね。
ご冥福をお祈りします。
ウフフフ