女優・小池栄子が評価を高めているのだ。自己プロデュースによって切り開いた道。自慢のバストを揺らしてグラドルから這い上がった、その道は決して平坦ではなかった。
「はっきり言って、ここまでうまい女優になるとは想像していませんでした。これまで地道な仕事を積み重ねてきた結果が現在の成果につながっているんでしょうね。
もともと芸能界で性格のよさは有名ですし、女優としても、これからさらなる成長が期待できます」
ここ最近の活躍ぶりを絶賛するのは、芸能レポーターの石川敏男氏だ。女優業での活躍ぶりには脱帽の様子だが、一般視聴者にも"女優・小池栄子(34)"の魅力がジワジワと浸透していることは間違いない。
現在、大きな注目を集めているのが、NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」での演技。
小池は年明け1月からスタートした「北海道・余市編」に登場して、素朴で純真な女性を演じており、ファンの間では、主演の玉山鉄二や朝ドラ初の外国人ヒロイン、シャーロット・ケイト・フォックスをしのぐ好感度を集めている。
「北海道編の物語を引っ張ったのは、間違いなく小池演じるハナと八嶋智人演じる俊夫のラブ・ストーリーでしょう。
女優として、テレビ以外でも活躍の場は着実に広がっている。
先日開催された日本アカデミー賞で最多13部門を受賞した現在公開中の映画「不思議な岬の物語」(東映)では、吉永小百合と2度目の共演を果たしており、休む間もなく4月に公開される映画「エイプリルフールズ」(東宝)にも出演。
また、舞台における評価も驚くほど高いという。
「昨年は『大人計画』と『劇団☆新感線』という現在の日本を代表する劇団がコラボした舞台『ラストフラワーズ』に出演するなど、舞台役者としても引っ張りだこです。
今年も鬼才・ケラリーノ・サンドロヴィッチが7年ぶりにプロデュースする舞台『グッドバイ』への出演が決まっている。
共演は仲村トオル、水野美紀、門脇麦といった実力派ぞろいですが、もはや彼女の演技はこの中に入っても貫録すら感じさせる安定感ですね」(石川氏)
演技派女優として揺るぎないポジションを築きつつある小池だが、現在のポジションにたどりつくまでには、いくつもの挫折があった。そもそもデビュー時からして、「女優失格」の烙印を押されるという最低のスタートだったのだ。
小池の芸能界入りは98年。名物社長・野田義治氏率いる芸能事務所「イエローキャブ」からデビューしている。当時のイエローキャブは言わずと知れた"ナイスボディ軍団"で、グラビアブームを牽引する存在だった。
小池もFカップを武器に頭角を現したのは周知のとおりだが、実は芸能界入りした当初の彼女は女優志望であり、「お芝居をやりたい、絶対に水着にはならない」という約束で事務所に入っていたのだ。
デビュー時からグラビアやインタビュー記事など何度となく一緒に仕事をしてきたという元週刊誌編集幹部が話す。
「意外でしょうが、スカウトされた当時の小池はダイエットをしていたこともあって、胸はそれほど大きくなかったんです。
野田社長も『事務所として初めて、水着をやらないタレントとして売り出したい』としていたんですが、いざデビューに向けて業界への挨拶回りを始めた頃にはリバウンドや成長期もあってどんどん太り始めてしまった。
テレビ局のプロデューサーからは『痩せないと映像はキツい。使えません』と辛辣な"女優失格"のダメ出しを食らい、本人もかなり落ち込んだそうです」
野田社長からは「お前にはダマされた」「水着は嫌だなんて言ってる場合か。痩せないと仕事がないんだよ!」とあきれられ、しぶしぶグラビアをやることになったものの、その後もマネージャーからは「こんなブサイク売れない」「痩せろ」と厳しい言葉を浴びせられ続けたという。
アイドル評論家の堀越日出夫氏が話す。
「のちに小池自身も、『この時の決断が一生でいちばん腹をくくった瞬間だった』と明かしていますが、ここでふんばったことで芸能界での活路が開けた。
野田さんの『最初は水着で世に出して、そこから徐々に服を着せていく』というプロデュース手法がピッタリとハマったようで、以降は人気も知名度も急上昇していきました」
元週刊誌編集幹部は、当時の小池の魅力をこう分析する。
「胸が大きいというだけではここまでの人気は出なかったはず。やっぱり性格のよさも大きかったのではないですか。
事務所の教育もあってスタッフへの挨拶などの礼儀はもちろん、撮影後には全スタッフにお礼の手紙を書くといった地道な気遣いも続けていましたからね。
グラビア撮影の現場では"お姫様扱い"されるため、どうしても勘違いしてしまう子が多いのですが、小池は逆に自分から笑わせて雰囲気を盛り上げたり、ショーツなどの小道具までちゃんと自分で用意していましたからね」
徐々にバラエティ番組で人気が出始めた小池は、生来のサービス精神も相まってタレントとして一気にブレイクする。
「当時はグラドルでも『胸ばかり注目されるのは嫌』と主張する子も多かった。そんな中、小池は自分のバストやルックスを"オイシいキャラ"としてネタにしたんです。
胸をネタにしては「手術疑惑」を晴らすため、レントゲン撮影をさせたこともあったほどだ。
こうした乗りのよさから、「ワンナイR&R」(フジテレビ系)などで共演して、芸能界では数少ない親友だという雨上がり決死隊の宮迫博之は「僕が見た中では、数少ない天才」と絶賛を惜しまない。
とんねるずの石橋貴明から「悪いウルトラマン」などと言われるのを筆頭に、自分がイジられても笑顔を絶やさないのだから、バラエティにおける小池のキャパシティは、並の女芸人では太刀打ちできないほどだった。
極め付きは、みずから性癖まで暴露したことだ。
「以前はバラエティやコントなどで芸人をちゅうちょなくビンタしたり、ボンデージを身につけて女王様キャラを演じることが多く、本物のSキャラと見られていた。
ところがのちに、『ロンドンハーツ』(テレ朝系)の人気企画『格付けし合う女たち』で『私は極上のMです』と宣言。
さらに『踊る!さんま御殿!!』(日テレ系)でも、『彼氏にはお前と呼ばれたい。所有物になったような気がしてすごくいい』と、そのドMな性癖をカミングアウトしています」(堀越氏)
この"ドM告白"のきっかけになったと言われるのがプロレスラー・坂田亘(41)との結婚。02年の交際発覚以降、6年間も愛を育んで07年にようやくゴールインにこぎつけたのは"ドM性癖"を証明するかのようだ。
さて、小池のキャリアには2つの転機があったと言える。1つは坂田との結婚だが、もう1つは育ての親・野田氏と袂を分かつことになったイエローキャブの分裂騒動だ。
04年、イエローキャブの野田社長は経営上のトラブルから社長を辞任。新たに「サンズエンタテインメント」を設立した。MEGUMIや雛形あきこらが野田氏についていった中、小池はイエローキャブに残る道を選んでいる。
「坂田との交際で意見の対立もあったようですが、一番の原因は方針の違いでしょう。今までどおりバラエティで売りたがった野田さんに対し、小池は当初の憧れだった女優業に力を入れたいと考えていた。この違いが大きかったはずです」(元週刊誌編集幹部)
そして小池はこの騒動をピンチではなくチャンスに変えた。野田社長のもとを離れた小池は、女優としての自分をセルフ・プロデュースすることで新しい道を切り開いたのだ。
舞台や映画の脇役などで地道に実力をつけながら、ついに大きなチャンスをつかむ。08年に主演した映画「接吻」(ファントム・フィルム)で、殺人犯を愛する女性という難しい役をみごとに演じ切り、その年の映画賞で主演女優賞を総ナメにする評価を獲得。
以降、映画界では吉永小百合、渡辺謙、役所広司といった名優との共演や、故・森田芳光、中島哲也、吉田大八、堤幸彦、阪本順治、李相日といった錚々たる映画監督の作品に出演するなど確固たる地位を築いたのである。
この世代のグラドルの中で、これだけ成功した例は他に見当たらないだろう。グラビア界の出世頭として、小池が若い世代からカリスマ視さえされるのもうなずけるのである。
[引用/参照:http://www.asagei.com/33609]
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