大規模な組織犯罪集団の摘発は難航し、相変わらず騙される人が続出。だが、裏社会の人々がとんでもないやり方で稼ぎを得ているのは、オレオレ詐欺に始まったことではない。
ノンフィクション作家の溝口敦は、『詐欺の帝王』(文藝春秋)でオレオレ詐欺の帝王とまで呼ばれた人物を取材している。
本藤彰(仮名)と紹介されているこの男、ワンクリック詐欺、未公開株詐欺、社債詐欺、イラク・ディナール詐欺など、あらゆる詐欺に関わってきたそうだ。
見た目には、
「30代後半、身長178センチと背が高く、弁舌はさわやか。暴力臭はまるでなく」
「頭は非常に切れ、カタギのどんな仕事についてもきちんとこなしただろう」
著者はこう語る。
大卒で大手広告代理店に5年在籍した経歴も、社会人として申し分ない。
因みに、本藤が帝王扱いされていたのは今から4年ほど前。就職氷河期と呼ばれる時代に大手企業に就職できた男が、なぜ詐欺業界に足を踏み入れたのだろうか。
本藤が現役合格したのは東京六大学の1つ、そこで彼はイベントサークルに入部して関東の全ての大学生イベサーを一同に集めた巨大イベント『キャンパスサミット』を設立。
過去累計動員数30万人を誇るこのイベントは、現在も続いている。
企業もこの逸材を放っておかず、学生だけでは借りにくい会場を仲介する箱屋としても腕をならした本藤は一介の学生とは信じ難い人脈を築いていった。
大手広告代理店への就職もこうした経験を買われてだったが、退社に至ったきっかけはイベントサークル「スーパーフリー」により忌まわしい集団強姦事件が明るみに出たためだ。
「ケツモチをしていたくらいで無関係では有り得なかったが、学生と一緒に輪姦に加わるほど愚かでもなく、女性に飢えてもいなかった」
しかし、「勤務する大手広告会社には何人かスーフリ出身者がいたこともあり、本藤も関与を疑われて」左遷後、退社となった。
その後、「学生時代にケツモチや箱屋などで蓄えた資金があった。それを資本に何か新しい仕事を始められるのではないか」
スーフリ事件と時期を同じくして、ヤミ金、山口組直系五菱会に対する摘発が本格化。なんと本藤はこれに目を付ける。
「今、五菱会は警察の捜索に追いまくられている。しかし本来、ヤミ金は儲かるのではないか。五菱会が手を引いてもヤミ金は生き残るのではないか」
最終的に本藤のヤミ金は「300店舗を数え、従業員1300人を抱えるまでに肥大」し、当時の月収は最低でも2億から3億だった。
桁違いの世界の中でオレオレ詐欺や架空請求詐欺などにも手を出すようになり、さらなる収益をあげていく。「あまりに巨額だったから銀行に預けることは不可能」にもなった。
「税務署にカネの残高や出所をお伺いされたくないから、土地も株も債権も買えない。基本的に遊び以外には使い道がなかった」
「住まいとは別に目立たないマンションを借り、そこを自分だけのカネ置き場に」
さすがに増えすぎたカネを海外に逃避させることを考え始めた。そんな状況から思いついたのが、ディナール詐欺だった。
海外に巨額の金を移すことを考え始めた矢先、訪問した中東のドバイ。イラクでディナール紙幣が使われていることを知る。
現地で日本円をディナールに両替し、全部使い切れずに日本に戻った。しかしどこの銀行に持ち込んでもディナールを再び日本円に両替することはできなかった。また当時のディナールの価値は下落していたが、イラク戦争が終われば「経済が復興して昔のように価値が上がるのではないか」......と詐欺に使えることを思いついた。
「なぜならディナールという正規の通貨は日本で知られていない。取引されてもいない。これを売るために、どのようなセールストークをしようと破綻せずに済む」
「ディナール詐欺はバカ受けしました。自分の持ち金をもっと増やしたいという欲の皮の突っ張った小金持ちたちが争って買ってくれた」
「詐欺師の業界でブームになり、大流行した。他の詐欺集団が競って商材にするべくディナールを求めた」
ここまでの実行力を持ちながら、本藤自身は「意外なことに、本藤には詐欺に関わる事件で逮捕歴も前科もない」ヤバイと感じたら、迷わず引く素早さも功を奏した。
彼の鉄則は、
「名簿屋から様々なリストを購入するわけですが、騙されるような人間に片っ端から電話を掛けるのではなく、一度何かの詐欺に引っかかった人間を何度も狙う。
騙される奴は何度も騙されるし、なによりカネがある。300万円振り込むということは、3000万円は貯金があるということです。この残りを根こそぎ搾り取った方が効率的なのです」
しかし09年、広域暴力団系組長との金のトラブルから右足首を襲撃されてから、潮時を感じたという。
著者いわく、
「詐欺師が詐欺商売から足を洗うのは、ほとんどの場合、逮捕をきっかけとしている。仲間が次々逮捕されて身近に逮捕されそうな危機を迎えたとき、あるいは実際に自分が逮捕されて、初めて詐欺商売から決別する」
しかし本藤の場合は、
「身近に逮捕されそうな危険は迫っていなかった。単に自分のグループ支配にガタがきているなと感じただけ」
引き際までスマート。やってることの悪どさはかわらないが、この"詐欺の帝王"はこれまでの詐欺師や詐欺集団とは、バックボーンがかなりちがっているようだ。
本藤彰は、本書によれば「若い頃から伝説がつきまとって」いた。「歌舞伎町五人集の筆頭」「半グレ集団関東連合の黒幕」「数百億円を握った正体不明の大物」といったものだ。
一方、インターネット上では本藤について「存在しません、騙されないで下さい!」と注意をよびかけるページさえあるという。
実際の本藤は関東連合とはなんの関係もなく、暴力団にも所属したことはなかった。むしろ、そういったものとは真逆の、本藤の前職である広告代理店的なスマートさをもつワルだった。
[引用/参照:http://lite-ra.com/2014/11/post-608.html]
□ 工藤明生(くどうあきお)
「イベントサークル主催者あがりの闇金融・振り込め詐欺の帝王」として某巨大匿名掲示板や各種SNSを中心にその名が吹聴されてきた架空の人物。
1976年(昭和51年)生、九州出身、明治大学卒業、電通中途退社、指定暴力団山口組系山健組の下部団体「健國会」の企業舎弟、"歌舞伎町五人衆"の一員で一条葵のパトロン、通称"あっくん"、というのが基本設定とされているものの、場合に応じた別のパターンも散見される。
「帝王・工藤明生」という虚像の背景については諸説が存在するものの、元ネタにあたる人物自体は「一応」実在するという説が根強い。
すなわち、イベントサークル隆盛時代にそれなりに名を馳せた「スーパーフリーの和田真一郎に毛が生えた程度の人物」=工藤明生が実在し、そこに有り余るほどの脚色を施したのがすなわち「帝王・工藤明生」であるという説である。
一方、橘玲のフィクション小説『マネーロンダリング』(幻冬舎・2002年)の主人公"工藤秋生"を元ネタとした完全な架空の人物であるとする説や、この小説の"工藤秋生"の元ネタとなったのが実在の「工藤明生」すなわち「スーパーフリーの和田真一郎に毛が生えた程度の工藤明生」であるとする説も存在する。
ベストセラー『いびつな絆 関東連合の真実』(2013年・宝島社)の著者にあたる関東連合関係者・工藤明男は次のように記す。
実は私のペンネーム「工藤明男」は、ネット住人の妄想によって作り上げられた"関東連合の黒幕"「工藤明生」のパロディーである。
「工藤明生」と検索すると、某タレントの愛人説や五菱会系の闇金融出身で暴力団、電通、政界までも裏で牛耳る日本社会の闇のフィクサーのように紹介されている。
それも、関東連合の実在する大幹部と並べて紹介されているのだから、嘘と真実が混在するかたちとなり、タチが悪い。
はっきりと断っておくが「工藤明生」などという人物は、それが偽名や稼業名(暴力団などがその世界でだけ使う名前)であったとしても、少なくとも関東連合の中には存在しない。
警察や大手新聞社の記者でさえ「関東連合の『工藤明生』は実際にはどんな奴なんだ?」と聞いてくることがあるが、そんな人間には実際に会ったことも、見たこともない。
もっとも、オレオレ詐欺の頭領として大金をつかみ、数年前まで歌舞伎町のキャバクラで派手に飲んでいた「工藤」を名乗る男の噂は耳にしたことはあるが......。
[引用/参照:『いびつな絆 関東連合の真実』 宝島社 ISBN:9784800209917 p.183]
一説には、内部告発的な「危うい」情報までが簡単に出てしまうという現代ネット社会の状況に危機感を抱いた現実の「闇金融・振り込め詐欺の帝王」に相当するような人物(ないしは勢力)が、話題の的を自身(ら)から逸らすために―すなわち捜査線撹乱を企図して作り上げた「ネット対策マスコット」であるとする見方もある。
中規模振り込め詐欺グループのリーダーにあたる人物がネット掲示板の「目撃情報」書き込み一つから潜伏先の北海道で逮捕された事件(2012年)は記憶に新しい。
関東連合や怒羅権などの各種半グレ集団関係事案周りでその名が登場することが多い。
[引用/参照:http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B9%A9%C6%A3%CC%C0%C0%B8]
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倉田がくるってあっくんの写メのせてたけどイケメンだったなー
なげーよ
記事が長すぎ。道重さゆみのパンツ狩りたい。