「もう、引退かな……」
今年4月のこと。左ふくらはぎの肉離れで長期離脱を余儀なくされた巨人の高橋由伸(38)は周囲にポツリと漏らした。
度重なるケガと毎年のように格闘。トシもトシだ。チーム最年長のベテランが、ボチボチ潮時かもしれないと考えたのは自然なことだ。
そんな高橋の気持ちをもう一度、奮い立たせたのは、1つ年上の松井秀喜(39)のひと言だった。
5月5日、東京ドームの広島戦の前に行われた国民栄誉賞の授賞式に出席した松井に、
「とにかく、しぶとく1年でも長くやれ!」
と言われたという。
松井は昨年、開幕しても所属チームが決まらなかった。通常ならチームに帯同してキャンプとオープン戦をこなしている時期、ニューヨークでマシン相手の打撃練習を繰り返した。練習の中身は例年と比べて、むしろ濃いと思ったくらい。やれることはやったという気持ちもあった。
4月下旬にレイズとマイナー契約。5月下旬にメジャー昇格したものの、結果が伴わなかった。やるべきことをやりながら結果がついてこなかったことで12月、現役生活に終止符を打った経緯がある。
松井が引退した本当の理由は、プレーするチームがなかったからではない。その気になればマイナーでも日本でも、現役は続けられた。松井が現役生活に見切りをつけたのは、自分の能力の限界を悟ったからだ。
先輩の言葉に高橋の気持ちは揺れた。いや、正確に言えば、ガンガン揺さぶられた。出場は68試合にとどまったとはいえ6月に復帰して以降は打率3割3厘。まだ、結果はついてくる。松井のケースとは明らかに違う。
「(左ふくらはぎ肉離れの)ケガがあったからどうこうというのではなく、引退は何年も前から気持ちの中にあった。けれども、1年でも長くやりたい。自分の力を最大限に出したい」
高橋は20日、2000万円減の1億6000万円で契約を更改。松井の真意は、どうやら伝わったようだ。
[日刊ゲンダイ]
http://gendai.net/articles/view/sports/146818/2
腹タプタプさせながらモタモタ走りやがって痩せろデブ