2014年の年末は東西で3イベント、8つの世界タイトルマッチが行なわれた。
ビッグイベントが一時期に集中するのは決していいことばかりではないが、年末のお祭りムードにふさわしく、充実した内容の試合が多く見られた。
中でも際立ったのが井上尚弥(大橋)だ。世界トップのギジェルモ・リゴンドー(キューバ)からダウンを奪った天笠尚(山上)の大奮闘も我々の心を大いに揺さぶったとはいえ、年末のMVPを選ぶなら、やはり井上で決まりだろう。
圧巻の2階級制覇だった。対戦相手のWBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)はアマで2度の五輪出場を誇り、アマ・プロを通じて159戦して一度もダウン経験がないという歴戦の強者だ。
いくら若くて勢いがあり、2階級上げて減量から解放された井上といえども、ディフェンスに絶対の自信を持つ39歳を簡単に攻略できるはずがない――というのが専門家筋の見立てだった。
そうした予想はナルバエスの強さだけではなく、井上のこれまでのパフォーマンスとも関係している。
デビュー当初から井上が非凡な才能を発揮し、スパーリングで実力者たちを軒並みボロボロにしていたとはいえ、実際の試合で、我々の常識を覆すほどの怪物ぶりを発揮していたかと言えば、そうではなかったからだ。
そうした背景から「井上が苦しみながらも勝利」という予想が大勢を占めていたのである。
しかし、試合開始30秒で放った井上の右が、ナルバエスのプライドも、長年築き上げてきたキャリアも、私たちの予想も、すべてを打ち砕いた。
少しオーバーハンド気味の軌道を描く右がナルバエスの前頭部を直撃。この一発で己の肉体をコントロールできなくなった王者は、続いて同じような右をガードの上から食らっただけで、あえなくキャンバスに転がった。
「反省点?きのうは特にありませんでした」この一撃は井上と父の真吾トレーナーが執拗に練習していたパンチだった。
「ナルバエス対策、サウスポー対策で練習してきたパンチ。尚弥は最初、どうしても外側から回り込むような軌道で右を打っていた。それでは当たらない。だから真ん中だよ、真ん中だよ、と言って修正していった。練習でやってきたことが本番にバチーンと出ました」
真吾トレーナーが言葉を弾ませるのも無理はないだろう。井上はここから試合終了までのわずか6分間でさらに3度のダウンをナルバエスから奪ったのだ。偶発的に生まれたダウンは1つもなかった。
「すべて父と練習してきたパターン。最初の右も、そのあとの左フックも、最後のボディも全部そう。反省点? きのうは特にありませんでした」。試合翌日の記者会見で井上はこう言って笑った。
真吾トレーナーはさらに、衝撃の2回KO劇の内幕を明かした。
「僕の中で”尚弥洗脳作戦”というのがあったんです。あいつもまだ若いし、プロ7戦しかキャリアがない。倒せと言えば絶対に力むんですよ、性格的に。だから『判定勝ちでいいんだ、大差判定で勝つんだ』と言い続けました。
でもそう言いながら、すべて倒すための練習をしていたんです。尚弥にはもちろん、大橋会長にも本音は言いませんでした。本当のことを知っていたのはかみさんだけ。そうやって尚弥をコントロールしたんです」
井上の若さと才能、真吾トレーナーの周到な準備がもたらした結末は、日本のみならず海外でも大きな反響を呼んだ。
米国の有力ボクシング・サイト「ファイトニュース」と「ボクシングシーン」が相次いで2014年の年間MVPに井上を選出した。
欧米のメディアが、世界の有力選手を差し置いて軽量級の東洋人を評価するとは、ひと昔前なら考えられなかった。それほどプロ8戦目の21歳がナルバエスを2回KOで葬った試合はインパクトがあったのだ。
敗れたナルバエスは試合後、井上のパンチ力のすさまじさを盛んに口にした。
リング上でナルバエス陣営が「グローブに何か細工しているのではないか」と井上のグローブをチェックしたというエピソードは象徴的である。
減量から解放されただけで、これほどのパワーが宿るのか。井上本人は次のように語っている。
「(クラスを上げて)いつも通りの自分が出せたかなと思う。ライトフライ級のときは、試合前に足が動くかどうか心配だったけど、今回はそれがなかった。でもまだスーパーフライ級の体はできていないので、これからフィジカルを鍛えていきたい」
“モンスター”井上のブレイクスルーは、新たな時代の幕開けを告げたように思えた。
[引用/参照:http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150106-00822419-number-fight]
井上くんは強いわ。ろまごんとやってほしいな。
自演でた!先約 テイオー ナミ!アホのスリートップww
亀田以降すっかりボクシングに興味なくなったな。。