高校サッカー選手権のファイナルにはずれなし。
トーナメント大会の決勝戦というと、お互いの負けたくない気持ちが強くなりすぎるあまり膠着した展開になることが往々にしてある。しかし、近年の高校選手権は非常に劇的な展開ばかりで、しかもビューティフルゴールが多い。
「セクシーフットボール」で名を馳せた野洲(滋賀)が乾貴士らをはじめとした個人技と連動性を駆使して決勝点を奪った第84回大会、そして2点ビハインドを背負いながらも後半終了間際に追いつき、延長後半での村井和樹の鮮やかなハーフボレーで富山第一が初優勝を手にした前回大会は記憶に新しいところだろう。
その伝統は、決戦の舞台が国立競技場から埼玉スタジアム2002に場所を移した前橋育英(群馬)と星稜(石川)との一戦でも受け継がれていた。
Jリーグの試合でも笛を吹く岡部拓人主審が球際で闘わせるジャッジングをしたこともあり、序盤から激しいぶつかり合いとなった。試合が一気に動いたのは後半だった。
前半11分に星稜がPKで先制したものの、連動性ある攻撃で前橋育英が徐々に攻勢を強めていく展開となる。
その中で53分、大会を通じて正確なパントキックで攻撃の起点となっていたGK吉田舜のロングパスから野口竜彦のゴールで試合を振り出しに戻すと、その2分後には世代別日本代表にも名を連ねる渡邊凌磨が左サイドからペナルティエリアに切り込み、絶妙のインフロントキックでゴールネット右隅を揺らす一撃を叩きこんだ。
鮮やかな一撃、そして畳み掛けるような前橋育英の逆転劇。4万6316人が詰めかけた埼玉スタジアムは日本代表戦やJリーグでの浦和レッズの試合に勝るとも劣らない歓声が渦巻き、完全に前橋育英の流れになっていた。
しかし、そこでもうひと踏ん張りを見せたのは星稜だった。
昨年の決勝戦で富山第一に逆転負けした星稜だったが、その経験を生かした。
「失点してしまったことは取り戻せないですが、時間はまだあったので焦りはなかったです」とボランチを務めた平田健人が言う。
実際、2失点目の9分後の64分、背番号10を背負う大田賢生が右サイドで切り返しから左足で正確なクロスを上げると、攻撃参加した右サイドバックの原田亘がヘディングで合わせて同点に追いついている。
再び同点になって以降は両校の一進一退の攻防が続く。後半終了間際には大田の強烈なミドルをGK吉田が弾いてバーを直撃するなど、ゴール前での際どいシーンがあったが2-2のままタイムアップ。決着は延長戦へともつれ込んだ。
そしてこの局面で試合を決めたのは、今大会ここまで無得点だったFW森山泰希(たいき)だった。95分にスローインのこぼれ球に鋭く反応する。
「練習試合でもニアに蹴ったら入る確率が高かったんで、思い切って蹴ろうと思いました」
その言葉通り、相手マーカーをうまくターンでかわすやいなや左足を振り抜き、ニアサイドを破った。
そして極めつけは終了直前の110分だった。残り数分の時点でコーナー際でのボールキープを選択した星稜イレブンだったが、右45度でフリーとなった森山がパスを受けると、迷いなく強烈なミドルシュートを蹴りこんだ。
この2得点によって、昨年は逃した日本一の座を星稜が掴み取った。
「失点した後に『ここで終わったら去年と同じになるぞ、あきらめなければチャンスは来るぞ』と言っていました」と森山も気持ちを切らさなかったことに触れた。月並みな表現だが、結束の強さが星稜の逆転勝利の要因となったことは想像に難くない。
ただそれと同時に、選手権という枠組みの中でチームの結束を保つ難しさを感じさせる話もあった。
主将の鈴木大誠に印象的だった出来事を聞くと、この代の星稜は非常に”トガった”チームだったのではないか、と感じるエピソードがあった。
「日本一に向けて熱く取り組んでいた(河崎護)監督の意見に反抗する選手が出る時期があったり、チームのためのプレーができていなく、県大会準決勝の試合前に監督がチーム全員に対して30分くらい激怒したこともありました」
副将を務めた平田も「個が強いチームだったんですけど、強すぎるところもあって、バラバラになりそうな時もありました」と言う。そして、その個性の強さが選手権の期間でも頭をもたげそうになったという。
平田は続ける。
「本当にバラバラになったわけではないですけど、2回戦の前に、メンバーに入れていない3年生の気持ちが”切れている”状況に自分たちが気づけていなくて、(部員内で)少し食い違いがあったんです。
だからまず、主将と僕ら副キャプテンで話し合って、翌日に部員全員でミーティングに取り組みました。そういう(メンバー外の)心に気づけていなくて、全然甘かったなと思います」
星稜サッカー部は100人を超える大所帯である。年間を通して戦うリーグ戦なら、Aチーム、Bチーム……とカテゴリ分けすれば試合経験を積むことができる。
しかし選手権ではメンバーに登録されなければ、それは完全に実戦機会を失うことを意味する。ピッチに立つ選手は、応援席で声をからしながらも、無念さを抱える登録外の選手らの気持ちを慮って、結果を残さなければならないという側面もある。
この大会の取材をしていると選手から「仲間のために」という言葉がよく聞かれるが、それは日々しのぎをけずり合ったチームメートに向けての責任感からも発せられるものなのだろう。
今回の星稜は、河崎監督が交通事故に遭い、決勝戦まで指揮を執ることができなかった。その不測の事態の中でも選手ミーティングで”本音”をぶつけ合った結果、レギュラーと登録外メンバーに不退転の決意が生まれたのではないか。
本田圭佑、豊田陽平、鈴木大輔……日本代表にも名を連ねる選手を輩出し、近年の選手権で安定した結果を残していたものの、全国制覇はあと一歩届かなかった星稜。
その”あと一歩”へ、高校生らしい危うさも感じさせながらも、それぞれの境遇を理解して戦いに臨んだことで踏み込めた。
「最終的に”団結力”が日本で一番になれたんだと思います」平田の言葉が、星稜の全国制覇へのプロセスを象徴していた。
[引用/参照:http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150113-00822461-number-spo]
監督不在の中で自分等でよく乗り越え栄冠を掴みました!素晴らしいです。
ジャガイモみたいなお兄ちゃんがゴールを決めてはしゃいでる姿を見ると笑えた。
自分の顔とゴール後のパフォーマンスを考えろよ。
↓同感。この活躍で童貞卒業できると勘違いしてるんでしょうね♪