東アジアカップ最下位。その前のシンガポール戦では、まさかの引き分け。「試合前、選手はプレッシャーを感じていた」とハリルホジッチは語った。
先制点を挙げるまでに時間を費やした原因、結局3点しか入らなかった原因はそこにありと言いたかったようだが、ハリルホジッチ自身も選手と同じぐらい、いやそれ以上に、プレッシャーを感じていたのではないか。<中略>
いかにプレッシャーに襲われようとも、カンボジアにホームで勝利を逃すことはない。不運が重なっても大丈夫。
にもかかわらず、ハリルジャパンは、90分間、勤勉、真面目、忠実に、言い換えれば、慌てふためきながらプレーした。結局、3点しか奪えなかったことは、その余裕のなさに原因があると踏む。
試合後、監督はこう述べた。
「私は勝利を要求し、それに応えた選手にはおめでとうと言いたい」
「今夜はネガティブな気持ちになれない」
大仕事を終えた後のように、ホッと胸をなで下ろすハリルホジッチ。どれだけ余裕がなかったのか。心配になるのはむしろ監督だ。これが「決勝戦」ならそれでもいいが、戦いはまだ始まったばかり。実質的にはまだ始まっていないと言っていい。
<中略>
次戦の戦いについて訊ねられたハリルホジッチは「アフガニスタン(FIFAランク130位)には勝つためにプレーしたい。勝利のスパイラルを続けることで自信はつくのだ」と述べている。
弱小国に連勝することで、自信はつくのか。チームは強化されるのか。大いに疑問だ。過去の代表チームは、最終的にそれが財産にならなかった。目先の勝利に追われ、本質を見誤った。木を見て森を見ずに陥った。
いますべきことは、本当の意味での自信をつけることだ。監督がすべきことは、このサッカーなら本大会でも行ける! との確信を、選手やファンに植え付けることだ。
そうしたワクワク感、高揚感がいまの代表チームの周辺にはまるでない。崇高な目標に向かって邁進する高貴な集団の姿にはとても見えてこない。
ハリルホジッチの采配、指導法、考え方に、選手はどれほど心酔しているのか、怪しい限りだ。勝つことでしか自信を得られないのなら、格上とは戦えないことになる。
敗戦から学べないチームになる。格上と戦い、ボコボコにされれば、求心力は一瞬にして低下する――では、W杯本大会でベスト16は狙えない。
<中略>
どんなにドジを踏んでも、99.99%、2位以内に入るであろうアジア2次予選。それは新戦力を試すには最適な環境なのだ。遠藤航が東アジアカップでよかったというなら、サッと試せばいい。
予選突破が不安視される五輪チームの活動の場に充ててもいいくらいだ。それならば、シンガポール戦に引き分けても、カンボジア相手にシュートを外しまくっても、それはそれで有意義な経験になる。代表チームの強化に相応しい、計画性に富んだ戦いと言える。
現時点でのベストメンバーを、アジア2次予選に送り込むことは疑問。それはハリルホジッチというより、協会技術委員会の問題だ。
ザッケローニもそうだったが、日本とアジアと世界の関係を知らずに代表監督に就けば、頃合いが分からないのでつい不安になり、ベストメンバーで臨もうとする。一戦必勝になりがちで、目標から逆算した思考はできにくい。
計画性とは、全体図が正確に描けて初めて発揮されるもの。全体図を把握しているはずの技術委員会は、ハリルホジッチに進言すべきなのだ。
もっと余裕を持っていいですよ、と。2位以内に入ればクビにしませんよ、と。いまは理想に向かって邁進する時です、と。
計画性のなさが余裕のなさに繋がっている。弱小相手に決定的なシュートを外す選手より、W杯ベスト16に向けた青写真が見えないことを憂慮すべき。僕はそう思うのだ。
[引用/参照/全文:杉山茂樹●文
http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/jfootball/2015/09/04/post_960/]
セルジオ越後氏「チームの雰囲気が重いよね」
「試合の内容もチグハグなサッカーで、ハリルホジッチ監督が何をやりたいのか、どんどん見えなくなってきている。結果が出なくて焦ってきたのかな。選手の表情も硬かったしね」
「チームの雰囲気が重いよね。監督のこの調子が続いて、チームとして保てるのか疑問だよ。終始、攻撃している展開で、決定機を逃したりチャンスにつながらなかったりすると、『自分のほうができる』というくらいに怒る。
テクニカルエリアで感情的になっているシーンが目立つ。ラインギリギリで選手にプレッシャーをかけるような試合内容ではないんだ。
チームとしてうまくいかなくなって、プレッシャーをさらにかけて、またうまくいかなくなって…、と負のスパイラルに陥ってしまうんじゃないか」
「オーストラリアや韓国はしっかりと格下相手に得点差をつけて勝った。カンボジアはシンガポールが4-0で勝ったチームなのに、日本は3点どまり。最終予選には進めると思うが、来年、再来年が心配になってしまうよ」
[引用/参照/全文:http://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20150903/346709.html]
それが日本の実力だから。
日本の実力。