落合、意地でも負けられない理由
巨人3タテの快挙は逃したものの、3年ぶりの日本シリーズ出場目前の中日・落合博満監督(56)。
後輩、ロッテとの対決は、古巣・西村徳文監督(50)との一騎打ちでもある。
絶対に負けられない、プライドをかけた戦いになる。
現役時代、世界の王もできなかった日本プロ野球史上初の3度の三冠王に輝いている落合監督だが、監督になって一番喜んだ賞がある。
正力松太郎賞だ。
同賞は「毎年のプロ野球界で最も貢献のあった競技者(監督、コーチ、選手、審判)に対して授与される」勲章。
3度の三冠王の時に受賞できず、07年、リーグ2位から日本一監督になり、初めて栄誉を手にしている。
このときは、クライマックスシリーズでリーグ優勝の巨人を3タテにして、2位からの奇跡の大逆転日本一だった。
今度は「リーグ優勝、クライマックスシリーズ制覇、日本一になって完全優勝しないと意味がない」と言い続け、その完全優勝での2度目の正力賞となれば、また喜びも格別だろう。
実は落合監督がライバル視する巨人・原辰徳監督も、03年、昨年と2度の日本一監督で正力賞を受賞しているが、優勝の仕方のインパクトの強さでは落合監督の方が上といえる。
しかし、万が一、古巣ロッテの後輩、就任1年目の西村監督に敗れるようなことがあれば、落合監督株は急落するだろう。
「リーグ2位から奇跡の日本一」という、落合監督の勲章はすっかりかすんでしまうからだ。
リーグ3位から史上初めてクライマックスシリーズを制覇して日本シリーズ出場を決定。
日本一に駆け上ったロッテ・西村監督というミラクルの前には、リーグ2位からの日本一など無意味になってしまうからだ。
もちろん、西村監督が正力賞を受賞することになるだろう。
三冠王3度で、2度の世界の王超えをした落合監督の前には、選考委員会委員長も務める、正力賞4度という最多受賞者のソフトバンク・王貞治が立ちはだかっている。
通算756本塁打を記録した77年、ダイエー監督として2度日本一になった99年と03年。
第1回ワールド・クラシック・ベースボール(WBC)日本代表監督として世界一になった06年。
計4回だ。
正力賞でも世界の王超えが落合監督の目標になる。
[ZAKZAK]