貴乃花審判部長が、周囲の”反乱”に悩まされている。
先場所は十両、今場所は西前頭9枚目の豊ノ島が優勝争いに加ったことによって、取組を編成する審判部はまたまた揉めに揉めた。
またまた、というのは白鵬の連勝フィーバーのときも大騒ぎになったからだ。
場所前、双葉山の69連勝へ向かってひた走る白鵬に対し、どういう順番で、誰をぶつけるのか。
審判部へさまざまな意見が寄せられた。
結局幻のメモリアルデーに終わったが、順当であれば、白鵬が双葉山の69連勝に肩を並べるのは前半の7日目、双葉山超えは8日目になるはずだった。
中継するNHKの解説者たちでさえ、タイ記録や新記録に備えてコメントを考えていたほどで、「ただ機械的に下から順番に当てていいものか」という声が挙がったのも当然だった。
しかし、審判部を統括する貴乃花親方は「変な取組編成をしては、かえっておかしい」とスペシャル取組の編成には真っ向から反対。
これまで通り、初日は西の小結、2日目は東の筆頭と、極めてオーソドックスに組んだ。
結局、2日目に東の筆頭、稀勢の里が連勝をストップさせたが、ここで止まっていなかったら、注目の7日目の相手は北太樹、8日目は阿覧だった。
こんなラインアップを聞けば、「なんだ、つまらない。
早くつぶれてよかった」と思うファンも多いのではないか。
そして今度だ。
快進撃を続ける豊ノ島を、もう上位には当てず、下位力士と対戦させるのか。
それとも思いきって大関の中で不振の琴欧洲あたりは外して上位と対戦させるか。
ここでも審判部の意見は割れ、貴乃花親方は「大関同士の対戦を楽しみにしている人もいる。
それを崩すのはおかしい」と過去の慣例重視派だった。
ところが、この日午前に開かれた取組編成会議では、この貴乃花親方の方針に、若手の審判委員たちから異論が続出。
「貴乃花部長も自論を激しく展開したが、若手委員たちも一歩も引かず、最後は貴乃花部長が折れ、豊ノ島を上位にぶつけることが決まった」と関係者は明かす。
こうして、14日目に「豊ノ島対魁皇」が実現することに。
貴乃花審判部長が屈した格好だ。
物言いの説明でも、「ただ今の物言いは確認のためで–」と細かい説明をせず、協会内で不評を買っている貴乃花審判部長。
理事1年目で1つの組織を管理、監督するのは至難のワザのようだ。