日米”謝罪”文化の違いを知ったダル |

「こういうときもある。絶対に謝るな」というレンジャーズのロン・ワシントン監督の言葉は、なかなか含蓄があった。21日のマリナーズ戦で、メジャー自己最短の4回KOで負け投手になって謝ったダルビッシュにかけた言葉だ。「私は一晩だけでなく、1年を通じて彼を必要としている」とも言った。

ダルビッシュ

失敗したときにかける言葉は難しい。日本では先発の役目を果たせずにKOされたら、チームワークを保つためにも「すいません」と謝るのがふつうらしい。それには監督は何もいわないか、「エースの自覚がない」「試合を壊した」とか、後で本人がいない所で愚痴をこぼすことも多いようだ。

米国では交通事故を起こしても謝らないのが鉄則と聞く。うっかり謝ってしまうと保険会社の調査や裁判で不利になるからだ。監督は「落ち込まずに次、頑張ってくれ」の励ましと同時に、敗戦の受け止め方一つにしても、底流に日米の文化の違いがあることを教えたのかもしれない。

ロン・ワシントン監督

60歳の同監督は現役時代は無名に近く、指導者としてマイナーからこつこつと実績を積み上げてきた。「名前が優先する日本の監督と違い、下から人を育てたことで、つねに選手の側に立って見ている。こういう人格的に優れた人を監督にするシステムが、メジャーにはあるようだ」と江本孟紀氏(本紙専属評論家)は指摘する。

チームの先発5人中ダルビッシュは6勝で防御率(3・05)とともにトップだ。本人はルーキーのつもりでも、既にエースとして評価する監督の「エースらしく堂々と…」との注文も、「謝るな」に込められたのかもしれない。ダルビッシュの登板日は監督の”語録”も楽しみにしたい。

[サンケイスポーツ]
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/120524/mlb12052407490000-n1.htm

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