スペイン戦 三笘クロスの瞬間
FIFA(国際サッカー連盟)が2日、12月1日に行われた『FIFAワールドカップカタール2022』グループE第3節の日本代表vsスペイン代表のゴール判定について声明を発表した。
物議を醸していたのが、日本の決勝ゴールとなった51分の得点。ゴールライン際からMF三笘薫が折り返したボールがゴールラインを割っていたとして、一度はノーゴールとなったが、VARによる判定の末にゴールが認められ、日本が勝ち越しに成功した。
これによって、スペインのグループ2位通過とドイツの敗退が決まったが、FIFAが確固たる映像を出していないと指摘する声もあがっていた。
一部の映像では、ボールがゴールラインを割っているようにも見えるため、各方面で注目を集めていたが、FIFAは2日に公式ツイッターを更新。
Other cameras may offer misleading images but on the evidence available, the whole of the ball was not out of play. pic.twitter.com/HKKEot0j1Y
— FIFA (@FIFAcom) December 2, 2022
「スペインに2-1で勝利した日本の2点目は、ボールがアウト・オブ・プレーになったかどうかをVARで確認した。ビデオマッチオフィシャルがゴールラインカメラの画像で、ボールが部分的にライン上に残っているかどうかをチェックしている」とのメッセージと共に、ゴールラインカメラによる映像を投稿した。
さらに、「他のカメラでは誤解を招くような画像が得られるかもしれないが、利用可能な証拠ではボール全体が出ていなかった」と続け、角度によってボールが出ているように見えることを指摘した映像も併せて投稿している。
[via:SOCCER KING]
https://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20221203/1716251.html
VAR判定にドイツが猛反発
日本の決勝ゴールを巡って論争が巻き起こるなか、「日本のゴール、ドイツが猛反発」とスペイン紙「マルカ」が報じている。《中略》
スペイン紙「マルカ」は「日本のゴール、ハーストが決めた1966年のゴールと比較してドイツが猛反発」と報じている。
1966年イングランドW杯決勝でイングランドと西ドイツが激突。2-2で延長戦に突入したなか、イングランドのジェフ・ハーストが右からのクロスを華麗に胸トラップし、反転しながら右足を振り抜いた。
シュートはバーに当たり、ボールはラインの真下に落下。ゴールラインを割っていなかったように見えたが主審はゴールを認め、最終的にイングランドが4-2で勝利して論争となっていた。
誤審とされる当時のゴールを引き合いに出したのはドイツ紙「ビルト」だ。「イングランドのゴールは絶対入っていない!日本のスペイン戦のゴールのように」と同紙は記している。
ドイツでの報道を受けて、スペイン紙「マルカ」は「56年後にウェンブリーの亡霊が蘇った」と記した一方、「ドイツでは『ビルト』などのメディアが、日本がスペインに2-1で勝った時、三笘のクロスがギリギリだったプレーを、1966年W杯決勝でイングランドがウェンブリーでドイツ代表を打ち破ったジェフ・ハーストのゴールに重ねていた」と報じていた。
[via:FOOTBALL ZONE]
https://www.football-zone.net/archives/419990
「髪の毛1本レベル入ってる」
後半6分に田中碧が2点目を入れた場面ついて、直前にゴールラインを越えていたのではないかと海外で論争に発展。
しかし、上から見たら正当性が分かる証拠画像も多く公開され、海外ファンから「髪の毛1本レベル入ってる」「重要なのは接地じゃない」との声が上がっている。
世界中のファンを釘付けにしたのは、後半6分だった。
右サイドから堂安律のクロスがファーに流れたが、三笘薫がライン際から折り返し、最後は田中が押し込んだ。三笘の折り返しがゴールラインを割っていたかどうかVAR判定となったが、ゴールを認定。日本の2点目が記録された。
これが海外で大きな論争を呼び、賛否両論が渦巻いている。
しかし、接地面がラインを越えていても、ボール自体が空間上のラインにかかっていれば、ルール上はインプレー。これを踏まえているかどうかで論点も異なる。それを証明するかのように、海外メディアも真上から捉えた写真を公開している。
英メディアのツイート
英メディア「スタンダードスポーツ」公式ツイッターは三笘が左足でクロスを上げる瞬間、ボールがラインにかかっている状態の画像を掲載。海外ファンからは「シンプルにボールはアウトじゃない!」との声が上がった。
また、米スポーツ専門局「ESPN」のサッカー専門インスタグラムは横と上から撮影した2つの写真を比較。
「明らかにアウト」「全部が出ている」という声の裏で「入ってるよ」「少しでも入ってたらインプレーなんだよ」「この判定は正しい」「100%は出ていない」と正当性を主張する声も目立った。
他にも上から撮影した画像については、海外ファンから「ボール全体がアウトになっているわけではない」「インだね」「髪の毛一本レベルで入ってる」「重要なのは接地ではなく、上から見てどうなっているかだよね」との論調も目立っている。
[via:THE ANSWER]
https://the-ans.jp/qatar-world-cup/286956/
カメラの角度によってはラインを割っていたように見える
VAR判定のスゴイ仕組み
ゴールラインを割った?割ってない?
サッカーのW杯の1次リーグE組最終戦、日本-スペイン戦の決勝ゴールにつながった三笘薫の折り返し。
一見するとボールがラインを出たように見えた場面で、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)での確認が入った。
結果はボールがラインに触れていると判定され、「インゴール」。田中碧が押し込んだ得点は認められ、日本の勝利につながった。
今大会も、オフサイド判定も含めて戦況を左右してきたVAR。その技術を支える公式球に埋め込まれたセンサーチップ機能を開発したのが、12年にドイツで創業したキネクソン社だ。
キネクソン社センサー内蔵の公式ボール。カーナビやスマホにも入ってる技術らしい
技術開発者が証言
日本独占ライセンスパートーナー契約を結ぶ株式会社スポヲタの家徳悠介代表取締役と、アドル・ビタラフ・セールスマネジャーに聞いた。
-日本の得点シーンでどのような技術が生かされたのが教えてください。
ビタラフ氏:2つの技術が使われています。1つがキネクソンが開発したチップを使ったトラッキングシステムです。公式球の中に埋め込まれており、正確にボールの位置を測定できます。
もう1つは他社製の「ホークアイ」と呼ばれる技術で、テニスなどでも使用されています。会場に設置されたカメラによって、映像で判断するシステムですね。
テニスでのホークアイ技術
-ひと言で「VAR」と言っても、技術が補完し合っているわけですね。
ビタラフ氏:そうです。前回大会は「ホークアイ」だけでしたが、今大会はキネクソンが開発した技術が使われています。
-具体的にどのようにチップで測定していますか。
ビタラフ氏:チップは「IMU=慣性計測ユニット」と言います。加速度センサー、角速度(ジャイロ)センサーを搭載し、3次元の慣性運動、並進運動、回転運動を検出できます。
他競技ではバスケットボール、ハンドボールなどでも活用されており、さまざまな運動データから選手の競技パフォーマンスや身体負荷のモニタリングが可能となっています。
今回のゴールラインの判定に関しては、観客席の最前列前の外周に張り巡らせたアンテナとの連動で計測をしています。
フィールドをマッピングしていることで、(直系約22センチの)ボールが(最大12センチの)ラインを割ったかどうか、割ってない場合はコンマ何ミリの単位でラインにかかっているかを測定できます。あの場面でも、ミリ単位での数字が出ているでしょう。
-三笘選手は「1ミリでも」とコメントしていましたが、実際に1ミリ以下で計れるのですね。
家徳氏:その通りです。今大会はキネクソンのチップとホークアイの技術が融合されたことにより、より正確に、より早くVARの判定が行えます。
前回大会は映像を見る時間、どうしても人為的になってしまう部分が課題として残りました。今大会ではキネクソンの技術を使用したことで、映像だけでは判断に時間を要するような場面でも、迅速に対応できるようになりました。
キネクソン社センサー内蔵の公式ボール。センサーはこんな感じで浮いてる。加速度とジャイロ計測から位置を求める仕組みで、 位置だけではなく触ったかどうかも検知できる
-もしキネクソンの技術がなければ、ボールが出たと判断されていた可能性もありますか。
家徳氏:一概には言えませんが、可能性はあったと思います。欧州ではすでにブンデスリーガなどでこの技術が導入されています。
スペインのルイス・エンリケ監督が「VARを信頼している」と言っていました。欧州ではすでに技術的な浸透が進んでいる事も影響しているのかなと思います。
-チップを内蔵することで球の変化などに影響はでませんか。
ビタラフ氏:FIFAのパートナーに選ばれてからテストを行ってきました。ブラインドテスト、チップが内蔵されているかどうかを知らせないで選手にプレーしてもらうなど、何度も演習をしてきました。
-試合前にチップが充電されている写真も話題となりました。
ビタラフ氏:そうですね。チップはワイヤレス充電されます。1試合ではボールの入れ替えも考えて、最低20個以上はチップ内蔵球を用意しています。
-あらためて今回注目が集まったことについて教えてください。
家徳氏:扱ってきた技術が日本の勝利に貢献出来たと思うと本当にありがたいです。日本の勝利に、一切の疑問を挟むことなく喜べるのは、本当にうれしいです。
ビタラフ氏:この技術はデータを可視化することによって、選手のパフォーマンス向上や身体的な健康を保つこともビジョンとして持っています。日本代表の活躍とともに、広くみなさんに知って頂けたら本望です。
[via:日刊スポーツ]
https://www.nikkansports.com/soccer/qatar2022/news/202212020000720.html
海外の検証動画
VAR判定CG動画
検証動画
スロー動画
海外のパロディ画像
海外の反応
・クロスバーがラインと一直線に並んでいません。VARがゲームを殺している
>この写真でそれが正しいことを証明したことを知っていますか?頭の中で視点を変えると、ボールは写真よりもさらにライン上にあります
>だからこの写真はさらに説得力があります。ゴールがラインに沿っていれば、ボールはラインを完全には越えていません。
>誰かがそう言ってくれて本当によかった!クロスバーを超えていないという事実は、レフェリーとFIFAによる質の高い決定です。
>おお!それなら角度を一直線に直せば、この写真よりもはるかにINプレーであることの証明なのか!サンキュー!
ネットの反応
・FIFAが出した声明が全て。
・ドイツ人がドイツ製センサーに引っかかるw
・FIFAの公開した動画は説得力がある。日本にとっては心強いです。
・動画見たけど完全にセーフだな
・今大会から新しい世界基準が確立された。
・ボールを充電する時代
・副審って、もうクビ?
・この瞬間のためのラインテクノロジー
・人の目で見て判定してたらおそらくアウトだった。
・ドイツやスペインメディアで批判している気持ちも分かるが、あそこまで微妙であった場合の判定はどちらに転んでも審判は責められない。
・人間の判断には限界があるし間違いがある事もあると思うので、他のスポーツにもできる限り映像判定を増やしていくべきだと思う
・56年前にも不運はあったのか。
・2002年のスペイン韓国戦にこのシステムが導入されてれば良かったのにな
・こういう正解はないほうが後世まで語りたがれるけどな
・アメフトでは、何十年も前からビデオ判定を採用している。
・最初の頃は簡単にオフサイドになったり、面白さがなくなってるなと感じたが、このように1点が国を威信を巻き込む結果となると、VARの導入は納得出来る。
・そもそもドイツが日本に勝っていればよかっただけの話
・世界の三笘になった瞬間、1ミリの奇跡。
・このゴール、個人的には大会ナンバーワンをあげたい。
・もう騒ぎも終息だろうね。