今年の夏の高校野球で一番の注目選手で、今秋のドラフト1位候補と言われる桐光学園の松井裕樹投手(17)が神奈川県大会の準々決勝で敗れた。実力は十分ながら、なぜここで敗退してしまったのか。
松井裕樹
「松井君は昨夏の甲子園で10連続を含む22奪三振という大会新記録を達成して全国区の人気者になった。そのため、あちこちから招待試合などのお声が掛かり、肝心の県予選を迎えたときには疲弊してしまっていたのだと思います」(ベテラン野球記者)
甲子園で大注目されると週末は遠征試合に明け暮れることになる高校野球界。そうした試合を主催するのは地区の高野連やテレビ局などで、当然ながら興行収入は彼らのものとなる。簡単に言えば、甲子園のスターで本大会以外の時期に商売するシステムだ。
松井裕樹 フィーバー
松井の場合、春の県大会の5試合のうち4試合に登板、関東大会に進出すると、初戦の花咲徳栄(埼玉)戦で168球を投げた。続く2回戦(5月20日)では投げずチームは敗退したが、その僅か5日後の25日には熊本遠征。松井は東海大星翔戦で先発と抑えとして登板し、5回で8奪三振。翌26日の熊本工との試合ではリリーフで1回投げ、3奪三振。驚くべきことに、その翌週末にも福岡に遠征し、東海大五高相手に先発して5回10奪三振。翌日の久留米商戦でもリリーフで5回を投げて8奪三振。九州への2週続けての遠征という異常なスケジュールが終わると、今度は早実、常葉橘、関東第一、報徳、浦和学院、千葉経大付という強豪校との練習試合が続いた。
「7月1日の対浦学戦では18奪三振で、ヒットを打たれた走者を盗塁死に仕留める準完全試合。しかし、県予選前最後の練習試合となった6日の千葉経大付戦では7回からリリーフに出て3回2安打1失点。球威、球速とも本来の彼のモノではなく、下がり目の状況で県予選に突入したわけです」(スポーツ紙デスク)
前出のベテラン記者が言う。
「我々スポーツマスコミも”松井シフト”を敷いて、これから甲子園本番で”商売”しようとしていたので偉そうなことは言えませんが、結局は大人の思惑で潰れてしまった気がします」
試合後に号泣した松井。この悔しさはプロで活躍して晴らして欲しいものだ。
[週刊文春]
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/2980
大学やめとけ
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