3月一杯で降板すると報道された、NHK『ニュースウオッチ9』の大越健介キャスター(53)。
東大を卒業して85年にNHKに入局して以来、政治部やワシントン支局経由で10年から『ニュースウオッチ9』のキャスターとなった逸材だった大越氏。
「政治に対しては多少モノを言いたいと思うし、原発事故に関しても、やっぱり言うべきことはきちんと言いたい。NHKだから無味乾燥でいいということは、絶対にないと思いますから」(’11年6月、「週刊現代」インタビューより)
こう発言していた大越氏は、柏崎刈羽原発がある新潟県出身。NHK関係者は、原発再稼動に否定的な大越キャスターの報道姿勢に、安倍官邸が不満だったと述べている。
その意向により、籾井勝人会長が大越キャスターの更迭を決断したというのだ。大越キャスターの人気は、NHKに似つかわしくないほどの「もの言う」報道人としての姿勢にもあった。
しかし、今回の更迭にはさらなる理由があるという。
「昨年1月の就任直後、籾井会長は失言の連発で辞任寸前まで追い込まれた。なんとか乗り切った彼は、昨年6月の人事異動で与党に批判的だった報道局の一部局員を他部署へ飛ばすなど、完全なる『安倍シフト』を敷いた」(別のNHK関係者)
結果として発生したのが、政権に批判的な報道は不可能という現場の士気下落だ。
「そこで、危機感を募らせたNHKのOBが中心となって籾井氏辞任要求の署名を集めた。その数、7万通超。その際、OBは知名度が高く反骨精神のある大越さんを”反籾井派”のリーダーとして引き込もうとした」(前同)
大越キャスター自身は、慎重な姿勢だったそうだ。
「その動きが籾井会長側近の耳に入った。もともと権力に”もの言う”大越さんは安倍首相には煙たい存在。『早めに降板させたほうがいい』という話が出始めた。
12月の衆院選後、”反籾井派”は大越さんに再び接触を試みた。籾井派はすぐに察知し、”いつかはあちら側に立つ。早いうちに手を打とう”と今回の人事に繋がったと聞いている」(前同)
立教大学メディア社会学科の砂川浩慶准教授は、今回の降板劇に対してこう語っている。
「今週からの通常国会では年度内は予算関連、4月以降に集団的自衛権関連法案を扱います。予算関連にはNHK予算も入る。そのためNHKは、この時期、与党に逆らえないわけです。
今の時期に大越さんを交代することで、次のキャスターにも『わかっているよね』と圧力を与えられます。NHKはいよいよ”安倍様のNHK”になっていると思わざるをえません」
大河ドラマ「花燃ゆ」の安倍氏出身地すり寄りといい、爆問の件といい、局員も視聴者もNHKと安倍政権に翻弄されっぱなしになるのだろうか。
[引用/参照:http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150128-00010002-jisin-ent]