TROUBLE

HEADLINE

『火垂るの墓』ポスターに隠された意味【BBC】ジブリで最も暗い作品が今も持つ重要性

亡くなった高畑勲監督のアニメ映画「火垂(ほた)るの墓」(1988年)がテレビ放映されたのを機に、公開当時のポスターにネット上で関心が集まっている。

戦火で親を亡くした14歳の兄と4歳の妹が、草むらの中に分け入り、束の間の蛍の乱舞を楽しんで…。

当時のポスターを見ると、こんな微笑ましい光景のようにも思える。

ところが、ツイッター上では、ポスターをよく見ると、背後に黒い影があるのが分かると、ここ数日大きな話題になっている。

その指摘によると、黒い影は、神戸大空襲にも参加した米軍のB29のような爆撃機の形をしていた。さらに、蛍の乱舞のように見えた光の玉は、その一部が米軍の落としていった焼夷弾らしいというのだ。

実際、光の玉は、丸い形や流線型の形もあって、色も少し違っていた。

指摘したツイートは、13万件ほども「いいね」が押されており、大きな反響を呼んだ。ツイッター上では、「知らんかった」「うわほんとだ 上にいる」「そういうことだったなんて…」などと驚きの声が次々に上がっている。

それで、映画のタイトルに火が垂れるという表現をかけているのか、といった声も出た。ネット掲示板では、英語版のポスターの写真も投稿され、それを見ると爆撃機の姿が分かるとの指摘もあった。

「当時を知る人が少なく、確証が得られない」

火垂るの墓は、主人公の兄妹が、親を亡くして防空壕で暮らし始めるが、栄養失調で妹が亡くなり、残された兄は街中をさまよって…というストーリーだ。原作が作家の故・野坂昭如さんの短編小説で、テレビドラマなどにもなっている。

悲しいストーリーだが、ポスターだけは、つかの間の美しい光景を描いたものと思われていたようだ。しかし、爆撃機や焼夷弾なども描かれているらしいと知って、ポスターへの見方も変わったといった声がネット上で出ている。話題は海外にも拡散し、台湾のネットメディアなどでも取り上げられた。

このポスターは公開当時作られたものの一つと見られるが、アニメを制作したスタジオジブリは4月16日、ポスターについて、「当時を知る人が少なくなっており、確証を得られるものがありませんので、お答えは控えさせて下さい」とJ-CASTニュースの取材に答えた。

映画を手がけた新潮社は16日、「文庫版は弊社から出ていますが、弊社の方では分かりかねます」と出版部が取材に答えた。

[via:https://www.j-cast.com/2018/04/17326287.html]

ネットの反応

・なんで蛍じゃなくて火垂れなのかなと思ってたら
・やべえ 悲しすぎる
・衝撃の事実・・・
・ジブリってこういうの好きだよな
>火垂る
・この表記の時点で気付けない池沼大杉だ
・単純に火垂るって表記もあるのかと思ってた
・これでビックリしてるようなやつはちゃんと火垂るの墓を見てねえ証拠だな
・「知らんかった」と言うのは基本20代以下の子だろ
・え?そんなのみんな知ってることかと思ってた
 ていうか前どっかの駅でやってたジブリポスター展では割とはっきり見えたぞ
・当時、劇場のポスターを肉眼で見るとちゃんと見えてた

ジブリで最も暗い作品が今も持つ重要性

日本アニメ界の巨人スタジオジブリは、「となりのトトロ」など明るい内容の名作で知られるが、同社が30年前に発表した、第2次世界大戦時を舞台にした「火垂るの墓」は、今も強く心に響くメッセージを持っている。

野坂昭如氏による1967年の同名小説を原作とし、今月5日に死去した伝説的なアニメーション監督でスタジオジブリの共同創設者、高畑勲氏が製作したアニメ映画は、第2次世界大戦末期の日本で必死に生き延びようとする、孤児の兄妹の物語だ。

映画の冒頭から結末は予告されている。独りぼっちの少年、清太は三宮駅で餓死する。所持品から清掃員が見つけたのは、ドロップ缶に入った少量の灰と骨のかけらだった。

何の変哲もない缶は近くの野原に投げ捨てられ、空に向かった清太の魂は4歳の妹、節子の魂と再開する。

2人をホタルの群れが囲み、物語は始まる。「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」――清太の声による、耳に残るナレーションが入る。

ジブリ作品の一つではあるものの、「火垂るの墓」は一般的な子供向け映画とは全く違う。明るい気持ちにさせるそれまでの作品とは一線を画し、多くの人が観るのをためらうような悲惨な物語だ。

しかし、映画評論家で歴史家の故ロジャー・イーバート氏は、「戦争映画として最も偉大な作品の一つ」だと称賛した。

2000年に書かれた批評で、イーバート氏は、「アニメ映画はその最初期から、子供たちや家族のための『漫画』だった。しかし、それらの映画が存在するのは安全地帯に限られ、涙は誘っても悲しみを味わせることはなかった。『火垂るの墓』による感情体験は、アニメに対する考えを変えさせるほど力強い」と述べた。

第2次世界大戦末期に激しさを増した米軍による空襲は、主人公たちが住む神戸も襲う。

戦争に悲劇は付き物だが、この映画が描く物語の力強さには、高畑監督自身の経験がかかわっている。戦争時に少年だった監督は、当時住んでいた岡山市で大規模な空襲に遭った。

細やかな描写と印象派的な効果によって、高畑監督は戦争が人々に与える影響をリアルによみがえらせている。

米国の編集者で、日本のマンガ・アニメ業界を論じた「Japanamerica(ジャパナメリカ)」の著者、ローランド・ケルツ氏は、「火垂るの墓」のワンシーンについて、非常に悲劇的ながら「心が奪われるような美しさ」があると話す。

ケルツ氏は、「漁師の集団が、湾の向こうで炎に包まれた神戸の街を見つめている。空をなめるように炎が上がるなか、漁師たちの後ろ姿が映し出される」と語る。

「惨劇の静けさ。誰も動かないが、彼らの衝撃が伝わってくる。まさにシェルショック状態を表したシーンで、恐ろしいと同時にものすごく美しい」

戦争を生き延びる

シンガポール国立大学・日本研究学科のリム・ベン・チュウ准教授は、「火垂るの墓」は現在でも色あせないどころか、重要性がこれまで以上に高まっていると指摘する。

リム氏は、「『火垂るの墓』が注目すべき映画なのは、さまざまなメッセージを含むなかで、命の大切さを強調している点が挙げられる。

取り返しのつかない悲劇、戦争中の日本人が耐えなくてならなかった苦難を描いているが、観る人はなぜ第2次世界大戦が起きてしまったのかを自ら問う必要がある」と述べた。

「過去の日本の軍国主義を知ることも、映画中の出来事に対するより良い理解を助け、すべての戦争に対する一般的な人間感情を培う。それは将来の戦争を予防する、より効果的な方法になる」

前出のケルツ氏はこうも語っている。「『火垂るの墓』には、二義性や人生への後悔など豊かな物語性がある。その点だけで今も色あせていない。切羽詰った状況での英雄性や気高さの欠如の物語であり、その点では、ほぼアンチハリウッド映画だ」

「ハリウッド映画なら、困難なときにはヒーローが必要だと信じさせようとするだろう。高畑勲は反対の弱さを表現する。困難なときに最も必要なのは謙虚さ、忍耐、自己抑制だと。それによって生き延びられるのだと」

希望の象徴

「火垂るの墓」は、ジブリ映画としては最も暗い映画の一つだと言われているかもしれないが、熱心なファンたちは、「不当な評価を受けている」とするこの作品や、作品から得られる身につまされる教訓について、議論に再び火をつけるのをやめなかった。

発表から30年がたった今でも、議論は活発だ。多くの人々にとって、戦争が人々に与える影響は今も、人々から強い反応を生む。

YouTubeのユーザーのとある「火垂るの墓」ファンは、「アニメが過剰な表情や、性的なコンテンツ、陳腐な10代の恋愛ばかりだと思っている人は、『火垂るの墓』を観るといい。自分の間違いが完璧に証明されるだろう」とコメントしている。

米掲示板サイト「レディット」ユーザーのあるファンは、ホタルが象徴するものについて語っている。

「ホタルには、主人公たちの街を焼いた焼夷(しょうい)弾と希望と忍耐力を表す二重の意味が込められていて、いつまでも心に残る映画の象徴になっている」。

ジブリのファンのレベッカ・リーさんはフェイスブックに、「トランプ政権が誕生し、世界中で多くの人がナショナリズムに染まるなかで、この映画の必要性はこれまでになく高まっている」と書いた。

「この映画は第2次世界大戦の隠喩で、2人の登場人物が死ぬというだけの映画ではない。

『火垂るの墓』は、盲目的で反省のないナショナリズムや、それに従った人々の苦い結末について語っている。この映画は悲しいから傑作なのではなく、得られる教訓によって傑作になっている」

[via:http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-43779881]

ネットの反応

・翌日のシリア爆撃は痛快でしたね
・意外に思われるかも知れないけど 東京大空襲は世界人類初の、民間人標的虐殺軍事行為
・こんなのアニメでしか作れない しかしこんなのアニメで見たくない と言う絶対矛盾の自己同一アニメやな
・そら初見の外人からしたら衝撃かもしれんが 大半の日本人は何を今さら
・嫌いだけど好きな作品。いつも、涙が止まらない。
・すごいのは野坂昭如であって高畑じゃない
 >映像の仕種や表情、演出の細やかさは他の監督がやってたら駄作になってたかも知れん
・野坂さんの妹も戦争で死んでるから。
 >食べ物をあまり分け与えなかったせいで栄養失調で死んじゃったんだよね。野坂が小説にした理由は懺悔の気持ちから
・見た後に最も暗い気持ちになるのは耳をすませばだろ
・そもそもトトロが明るい内容ではない
・アメリカ人「誰がこんなひどいことをしたんだ?」

関連商品

コメント

  1. 1
    名無しさん 2018/04/17 22:46

    戦争の悲惨さや理不尽さを教訓にするのは良いが、この作品に限って言えば清太の社交性の乏しさが幼い妹の命を奪ったという事をしっかりと認識する必要がある。
    戦時下の食糧難で大変な時に街の消火活動にも参加しない居候が親戚の叔母さんから小言を言われるのは当たり前。
    それに反発して生活のあてのない横穴暮らしに体力の無い妹を連れ出すのは無責任極まりない。
    だからこそ高畑氏が言う、謙虚さ、忍耐、自己抑制が大事なんだという事。
    戦争に対する理不尽さや、親戚の冷たい仕打ちに悲しい運命を辿る兄妹という構図だけで感動して涙するなんてのは短絡的。
    清太の身勝手な振る舞いで妹の命を奪ったという結果を冷静に見る必要もある。
    さらに言えば自分達ばかりが戦争の被害者と考える沖縄の人達は東京も名古屋も大阪も日本全国で大空襲によって何十万人もの命が消え、そして広島と長崎では原爆が投下された事をしっかりと認識し、沖縄だけが戦争被害にあった土地ではないと冷静になれ。

  2. 2
    名無しさん 2018/04/18 18:00

    すごーい

  3. 3
    名無しさん 2018/04/18 21:55

    熱いね。

  4. 4
    名無しさん 2018/04/19 23:31

    トトロの都市伝説みたいにネット民がくだらないこじつけを頑なに事実だって言い張ってるのかと思ったら、年寄りオタクが知ってる俺カッケーってイキれる話か

コメントする

関連記事

このカテゴリの最新記事