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桑田&清原も愛した野球部の伝統メニュー【PLチャーハン】ルーツ&作り方とは!?

春夏通算37回の甲子園出場を果たし、7度の全国制覇。高校球界のレジェンド校”PL学園”の強さは、全国から優秀な人材が集められただけでなく、厳しい上下関係が支えていたと言われている。

なかでも、当時のPLには下級生が先輩の身の回りの世話をする “付き人制度”というのがあり、洗濯やマッサージ、時には食事を作っていたという。その際、先輩からオーダーされるのが野球部に代々伝わる”PLチャーハン”だった。

OBたちが”青春時代”を語る中で、しばしば口にする伝説のメニューを、98年夏に松坂大輔を擁する横浜高と延長17回を戦ったメンバーで、のちにプロの世界でも活躍した大西宏明氏に再現してもらった。

大西氏は2011年に現役を引退し、翌年4月に大阪・心斎橋に焼肉店『笑ぎゅう』をオープンさせた。「PLチャーハンを作るのは久しぶりですね」と笑うと、広々とした厨房で調理をスタートさせた。

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「PLチャーハンのいちばんの特徴は、油の代わりにマヨネーズを使うことなんです」と、大さじ2杯分のマヨネーズをフライパンに落とし、手早くごはんと刻んだソーセージを加え炒め始めた。

「具材の基本はソーセージ、ハム、ベーコンのどれかひとつと卵です。とにかく、マヨネーズと卵は絶対に切らしてはいけない。1年生は常に残りをチェックして、学校の敷地内にあるお店で調達していました」

 ところが、なかには冷蔵庫の中から個人で管理している卵を奪う”つわもの”が出現。万が一、具材を盗まれたことが先輩に知られてしまったら……。

「厳しいお仕置きが待っています(笑)。だから、冷蔵庫の中にさらにカギ付きのケースに卵などを入れて守っていました」

懐かしいエピソードを聞いている間に料理は進み、炒められたごはんに卵を落とし、最後に塩コショウで味を整え、「これで完成です」。

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ここに”チャーハンの素”などを加えることもあるそうだが、この日はなし。なんともシンプルなメニューだが、清原和博もインタビューの中で語ることもあった”PLチャーハン”は、いつから伝わったメニューなのだろうか。

s201501108-3大西氏は「いつからでしょうね」とわからなかったが、つてをたどるとそのルーツが明らかになった。発案者として名乗り出たのは清原、桑田真澄の1学年上のキャプテンだった清水孝悦(しみず・たかよし)氏。

「正確に言うと、油の代わりにマヨネーズを使い出したのが僕からということです。僕も下級生の時は先輩にチャーハンを作っていましたが、その時は普通に油を使っていました。

でも、油だとごはんがフライパンに引っ付きやすく、それでマヨネーズに替えてみたら全然引っ付かない。もともと、僕がマヨネーズ好きというものあったんですけど、『これはええ!』となって、それからですね。付き人に教えて作らせたら、他にも広がっていったみたいです」

さらに清水氏は、それまで塩と醤油だけだった味付けに、チャーハンの素やガーリックなどを入れて深みをプラス。具材についても、当時の寮の食事は業者ができあいの品を配達するシステムで、その中からチャーハンに使えそうなものがあれば取り置きしていたという。

「たとえば、煮物に鶏肉が入っていたら、それを一度洗ってチャーハンに混ぜたりね。味噌汁の具も汁を捨てて、ざるで洗って使っていました」(清水氏)

チャーハンを作るタイミングだが、夕食時に上級生がオーダーする時もあれば、夜食として夜11時に作る時もあった。また、“早弁”用に朝の5時に起きて、10数人分のチャーハンをタッパーに詰める下級生もいたという。

「学年の中に、必ずチャーハンを作るのがうまいヤツがおるんです。そうなると、付き人じゃなくてもその子が他の先輩の分も作るようになる。気がつけば、ずっと鍋を振っているヤツがいました」

そう笑った大西氏だが、こんなエピソードを教えてくれた。

「当時、実家に帰省した際、『オレも料理ができるようになったんや』と両親に“PLチャーハン”を作ったんですが、『なんやこの味?』って感じで、反応は悪かったですね。

寮生活では上級生しか食べられない贅沢品で、僕らはめちゃくちゃ美味しいと思っていたのに……。『オレらはグラウンドと寮以外、何も知らんねんなぁ』って思いました」

情報をシャットアウトされた環境がPLの強さを作り、伝説のメニューを生んだとも言える。

大西氏に作ってもらった“PLチャーハン”をいただくと、香ばしい匂いが食欲をそそり、味もなかなかのもの。お腹を空かせた高校球児にとっては、十分満足な一品だったことだろう。

「寮は普通のガスコンロだったので、火力が弱いんです。でも、マヨネーズがごはんをコーティングして、パラっと仕上がるんです。結構美味しいと思います」

大西氏はPL学園から近畿大に進み、2002年のドラフトで近鉄から7巡目指名を受け入団。その後、オリックス、横浜(現・横浜DeNA)、ソフトバンクでプレーし、2011年に現役を引退。その翌年の4月に焼肉店『笑ぎゅう』をオープンさせた

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ちなみに、この“PLチャーハン”を近年の選手たちは知らない。

現在、野球部員は2年生の11人のみで、存続か廃部か、この先の展開も不透明なままである。しかし、それ以前に2000年春に野球部員が生活していた研志寮から一般生と同じ寮に移り、伝統のメニューも途絶えたのだ。

「ふと、PLチャーハンを食べたくなる時はないのか」と大西氏に聞くと、「懐かしさと苦い思い出が半々なんで……」と苦笑いし、続けた。

「でも、久しぶりに作ってみたら、マヨネーズの焦げた匂いで、一瞬にして当時を思い出しました」

作らされた記憶と、作らせた記憶。まさにPL野球部員にとって“PLチャーハン”は、青春の思い出が詰まった至高の一品なのだろう。

[引用/参照:http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/2015/11/05/pl_1/]

PLチャーハンの作り方

①まず卵を炒めて、いったん別の皿にあげる。

②強火のフライパンにマヨネーズをしき、ご飯を入れる。

③調味料の中華味、塩こしょう、テーブルガーリックで味を調える。

④あげていた卵を入れて醤油を加え、混ざりきるまで炒めたら完成
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